気のせいではありません。2022年現在、メンタリングが流行しています。フォーチュン500社の企業や非営利団体からテレビの歌のコンテストに至るまで、かつては(スター・ウォーズの)ヨーダのようなアイコン的存在だったのにメジャーになっています。
しかしこの概念はメンタリングがはやるずっと以前からMDRTに根付いていました。MDRTメンタリング・プログラムが正式に始まったのは1995年ですが、その起源はおそらく組織の設立時にまでさかのぼります。「受けるために、まずは与えなければならない」という言葉からも分かるように、当初から相互研鑽が重視されてきました。
MDRTは100年近く前から大切にしてきたこのコンセプトに少しの手直しを加え、MDRTメンタリング・プログラムおよびMDRTピア・メンタリング・プログラムを立ち上げて会員と会員を目指す人たちが確実に成長できるようにしました。
なぜメンタリングか?
メンタリングの魅力と文化がこれほどまで広がった大きな理由は、うまくいくという単純な事実があるからです。Harvard Business Reviewの表現を借りると「動かぬ証拠があります。強力なメンターがいる人は急速な進歩、高い給与、組織に対する忠誠心、強い自尊心、仕事と経歴に対する高い満足感など職業人として多くの利益を得ることができます」となります。
MDRTでも同じことが言えます。オーストラリアの4年間MDRT会員であるNick Longo, ADFPはメンタリングの経験が仕事における功績の重要な部分を占めていると考えています。
「なぜ成功したのか?ビジネスで多くのことを達成できたのはどうしてか?それはMDRTの素晴らしい方々から指導を受けたからです」とLongoは述べました。実際MDRTを目指す方々のメンターになることを決めた理由のひとつは、自分がメンティだったからです。MDRTメンタリング・プログラムに関わる人たちが繰り返し口にする言葉、それは「恩返しをするため」です。
ぴったりの人を見つける
Longoは2020年7月にMDRTのメンタリング・ソフトウエアを通して会員を目指すNick Bartellaとマッチングを行いました。カナダが拠点のBartellaは以前にもメンターがいましたが、短期間で会員になるために特にMDRT会員とつながることを希望していました。
「メンターは応用の利く成功への道筋を示してくれるので、何年もの試行錯誤を省くことができます。メンタリング・プログラムによって成功に一歩近づくことができると思いました」とBartellaは言います。
Longoは地球の反対側で独特な市場を抱えるオーストラリアのアドバイザーである自分をメンターと考えていることに驚きました。2人はまず師弟として相性が良いかを確認するため話し合うことにしました。Bartellaはこの会話が非常に重要だったと言います。
「本質的な部分に入る前に、本当に協力できる相手なのかを確認してください。5年間付き合った恋人が子どもを望んでいなかった、とならないように。重要な質問は最初にしておいたほうがいいでしょう」とBartellaは語りました。
成功させるために
BartellaとLongoはメンタリングへの考え方が一致したのでMDRTのプラットフォームを通して正式にペアとして登録しました。プラットフォームは共同作業のタスクやMDRT関連コンテンツへのリンクなどのリソースが非常に充実していて、メンターとしてメンティと取り組むときに本当に助けになったとLongoは喜びを語りました。
「メンターの私から見ても非常に効率的でした。自動化されたシステムなのでやるべき事柄を1ヶ月ごとに確認することができ、これまでで一番楽にメンタリングの関係を築くことができました」と述べます。
当初2人は国によって異なる慣習について議論することが多かったのですが、やがて共通点にフォーカスする方が有益であることに気付きました。「Bartellaがカナダでも優秀なファイナンシャル・プランナーとして通用するように教えることにしました。規則や規制、システムが異なっていてもアイディアは転用することができます」とLongoは語りました。
Bartellaはバックグラウンドの違いがむしろパートナーシップを成功させた大きな理由だと考えています。
「自分と全く違う世界にいて物事への取り組み方も大きく異なる人の知恵を学びたいと思いました。Longoはまさに適役でした。国によって異なるさまざまな状況や見習うべきモデルケース、今直面している課題に適用できる新たな考え方を知ることができました」とBartellaは言います。
また2人は単に生産性を上げるだけでなくBartellaのゴールにも目を向け、それに近づくための実りある方法を考え出すことにも努めました。
Bartellaは「自分の本当の望みを打ち明けるのが怖い人はその達成感を知ることができません。夢をかなえるのを助けてくれる人が目の前にいるのに隠しておくのは愚かだと思います」と述べました。
BartellaによればLongoがメンターでいてくれることの最大のメリットは、問題やチャレンジやストレスが起きたときに相談できることです。メンターの素晴らしいところは電話を取って「今ひどい目にあっています。あなたの考えを聞かせてください」と言えることで、それが現状を打破することにつながります。
映し出される栄光
Longoは伝統的なメンタリング・プログラムの他に、MDRT会員がペアになって特定の成長分野に集中する新しいピア・メンタリング制度ができたことを知りました。数千マイルの距離と時差のあるアドバイザーとの経験が非常にポジティブなものだったので、英国の28年間会員Gregory Pogonowski, Dip, PFS, Cert (CII) MPに自分のメンターになってもらうことにしました。Pogonowskiはメンターとメンティ両方の経験があり、メンターになった動機は至ってシンプルでした。
「与えられた恩を返したいと思いました。私には経験があります。若い人にはどのような解決策があるのか答えが必要なときがあります。そのようなとき経験が役に立ちます」とPogonowskiは述べました。
Longoと Pogonowskiは2021年4月からパートナーシップを組みました。Longoの第一の目的は初のコート・オブ・ザ・テーブル獲得です。そこで2人はLongoが直面していた規制の課題よりも、事業の発展と成長にフォーカスすることにしました。Pogonowskiがシェアした将来のパイプライン・プランニング・ツールなどのアイディアはLongoの目標達成に役立ちました。
Pogonowskiは「何かを達成したいなら変化を起こさなければなりません。それはビジネスの変化ではなく、何かにつながる考え方であることもあります。Longoに起きたのはそのような変化だと思います」と述べました。
また次のステージを目指すアドバイザーはすべてを変えてしまうのではなく、すでに成功していることにプラスしていくべきであると強調します。
そしてLongoがコート・オブ・ザ・テーブルを獲得したことは、決して自分の手柄ではないが非常に誇りに思うと述べました。その気持ちは好きなスポーツチーム(彼の場合はChelsea F.C.)が優勝したときのようだったそうです。ファンは具体的に何かを手に入れるわけではなくても、「私たち」はチャンピオンだと喜ぶところが共通点です。
「私が成功したわけではありません。メンティが自分に課した挑戦に勝って成功をつかむのに手を貸しただけです。でもその栄光が自分に映し出された気分です」とPogonowskiは語りました。
Longoもこの見方に同意します。「私は自分が必要としていた素晴らしい指導者に恵まれました。彼はとても実直で、ありのままを受け入れてくれました。コート・オブ・ザ・テーブルは私と家族にとって大きな功績です。しかしPogonowskiにとっても大きな財産になったと思います」と語りました。
BartellaはMDRTのメンタリング・プログラムに参加したことが功を奏し、初めてMDRTの資格を得ました。今度は自分がメンターになるなど、次に行うことをすでに考え始めています。
「与えれば得るのです。メンターを持ったことで私の人生は大きく変わりました。本気で何かを変えたい人たちが協力すると魔法のようなことが起きます」と語りました。
Contact
Nick Bartella nick@theadvisorguide.ca
Nick Longo nick@relevantfinancial.com.au
Greg Pogonowski greg@yourmoney-matters.com
メンタリング・プログラムに関する詳しい情報はこちらmdrt.org/connect/mentorship