見込客をクライアントにするには時間がかかります。多くの投資家は、すでに複数のアドバイザーと関わりがあり、彼らからアプローチを受けています。さらにオンラインの投資プラットフォームは仲介者を無くすよう働きかけています。このような状況で新規クライアントが離れていかないようにするにはどうしたらいいでしょうか。
一つの方法は長期的な信頼関係を築き、クライアントを離れがたい気持ちにする方法です。これが固い絆、粘度の高い信頼関係を結ぶということです。私がアドバイザーをしていた頃は今よりも金利が高かったのですが上司はよく「見込客が債券を購入したらクライアントになったと思うのは間違いだ。債券を所有する見込客になっただけだと思え」と言っていました。ではどのようにして固い絆を結びますか。
1. 多様な商品をお勧めする
このアプローチは債券のみを所有する見込客に適用できます。クライアントが投資信託、債券、保険も所有していれば、関係はさらに強くなります。この場合、1つのサービスにたけているライバルがいたとしても、アドバイザーとクライアントとの間に割り込むのは難しくなります。
2. ファイナンシャル・プランは理にかなっている
ファイナンシャル・プランを提示してください。クライアントが目標を達成するまでの道筋を説明します。複数の目標やニーズがある場合はより多くの商品を加えることができます。プランがあることにより、クライアントは目標に向かって前進できます。他社がアプローチをかけても、すでにあなたが提案した計画があればクライアントはくら替えする必要がありません。
3. 税の影響
数年前には多くの会社が、会社間で移管できない有標商品を提供していました。クライアントが資金を別の会社に移すにはそれらの商品を売却しなければならず、課税対象となりました。現在はクライアントが株式を所有していて、競合他社が手数料ベースのアカウント・プラットフォームを持っている場合、移管に売却は伴わないはずです。しかし、競合他社が見込客に有価証券をキープするよう指示することはあまりありません。むしろ、他の証券を買う現金を調達するために売却を提案するでしょう。課税対象のアカウントでは税金が発生します。そうなると、会社を変えるメリットはありますか?
4. 素晴らしいサービス
信頼関係を築くことが大切です。電話で話をする前に皆さんがクライアントのニーズを把握していると喜んでいただけます。定期的にポートフォリオの見直しをすると心遣いが伝わります。目標への進行状況をお話しすると、クライアントの夢と要望を真剣に考えていることが伝わります。自分のことを本当に思ってくれる人がいるのに、そこから離れる必要がありますか?
5. お客さま感謝イベント
人は無料のサービスが大好きです。昔ニューヨークでアドバイザーをしていたとき、フロリダで冬を過ごすクライアントがいました。当社にはフロリダ支部があり、無料のディナー・セミナーを開催していました。彼らは当社のクライアントということで、これに参加できるかと私に聞いてきました。お客さま感謝のイベントでクライアントと関わりを持つと、絆はさらに強くなります。
6. 配偶者を知る
これは皆さんも経験しているでしょう。多くのビジネスをお預かりでき、アドバイスも良く聞いてくださる素晴らしいクライアントがいます。しかし配偶者は全く関わりを持とうとしません。そうするとアドバイザーが連絡をとるのは一人だけになってしまいます。その方が亡くなった場合、残された方はクライアントではありません。多額の資金を相続した見込客になります。統計によるとアドバイザーがカップルの両者と信頼関係を築いていない場合、未亡人となった方は資産と共に会社を離れることがよくあるそうです。どちらにも平等に関わる必要があります。たとえ配偶者がビジネスに関わらなくても、きちんと説明をすることで感謝していただけます。
7. 家族全員とビジネスをする
「ダウントン・アビー」(2010年にイギリスで放送が開始された時代劇テレビドラマ)は、私のお気に入りのドラマです。特に家族と使用人のコンセプトが好きでした。Grantham夫妻の弁護士や会計士、金融関係者は、何世代にもわたって家族とビジネスをしています。アドバイザーは、クライアントの両親、叔母や叔父とも積極的にビジネスをすべきです。大学資金用の口座を開設してもらうのは、子どもを引き入れる良い方法です。その場合、休暇中などの楽しい状況で直接顔合わせをしてください。
8. ご自宅訪問
「ダウントン・アビー」のもう一つのポイントは、Grantham氏がアドバイザーに会うためにわざわざロンドンまでドライブし、駐車場を探したりする必要がなかったことです。アドバイザーが彼らを訪問しました。クライアントの自宅でポートフォリオの見直しができるような関係を築いてください。ライバル会社がアカウントを移すようにとクライアントにアプローチしても、このような関係ができていれば、他社に心が動くことはありません。他社がそのようなサービスをしない場合、彼らの出る幕はありません。
長期で金融サービスの関係を持つことは、ガソリンを購入することとは違います。安ければいいというわけではありません。クライアントが同じ会社と非常に長い間ビジネスを続けるには、多くの要因があるのです。