ジャマイカといえば自 然豊かなビーチやボ ブ・マーリーの音楽、 史上最速のスプリンター、ウサ イン・ボルトを思い浮かべます。 しかし何といってもリラックスし た心穏やかな人々の生き方が良 く知られています。ザックリ訳す と「何もかも大丈夫」という意味のパトワ語「 irie」がこの 島国でよく使われるのも納得です。
しかしジャマイカの金融サ ービスにおけるアドバイ ザーのアプローチはこの限りではありません。1990年 代半ばの経済不安の後、国は保険業界と金融部門を監督 する金融サービス委員会(FSC)を設立しました。そしてFSCは地方に住む50%近く のジャマイカ人に対して重点 的に金融リテラシーを高める 教育を始めました。
Kingstonで活躍する6年 間MDRTメンバーのJeffrey David Jarrettもその教育 を受けたひとりでした。「ジャ マイカの田舎で育った私は、生命保険の概念や経済的自 立の意味が分かりませんでした」Jarrettは友人が生命 保険に加入して初めてその存在を知りました。彼自身が その概念を理解するのに苦労した経験から、経済事情に ついて知識のない人々を助けることに情熱を注ぐように なりました。
「クライアントは素直なだけでなく、教養があることも 大切です。まずは信頼関係を築いてから、必要な人々に 金融リテラシーをお伝えするようにしています」と言い ます。
ジャマイカには、昔から保険に対して否定的な考え方 がありました。そのためアドバイザーは「保険募集人は詐 欺師である」という汚名を返上しなければなりませんで した。またFSCは2022年の第2四半期に実施され効果 を上げた事実調査のような新しい規制を通じて、この誤 解を解くよう積極的に取り組んでいます。これにより病歴 やリスクを含めてお客さまの状況を細かく聞き取る顧客 情報の収集がより充実したものになりました。Insurtech (保険+テクノロジー)の登場と相まって、クライアント 情報を業界全体で簡単に共有できるようになりました。 そしてより多くの情報に基づいた総合的なサービスが実 現しています。「新規のクライアントを把握できるので、 とても好評です」とJarrettは言います。
保険会社はこれまで保険サービスが普及していなかっ たり、不十分だった階層の人たちを対象に新商品の開 発にも取り組んでいます。任意の医療保険に加入してい る人は人口のわずか19%です。現在、高齢者とフルタイ ムの学生だけでなく、ホスピタリティ産業(ツーリズムは ジャマイカの国内総生産の第1位)と農業部門で働く人々 のために新プランが展開されています。
Kingstonで活躍する11 年 間 MDRTメンバーの Selena Tonielle Chin-Coffieは生後3 ヶ月から15 歳の子どもを対象とする新しい重大疾病保険プランの人 気を目の当たりにしました。この保険は、入院や一部死亡 保険金だけでなく、重度のぜんそく、脳卒中、1型糖尿病、 筋ジストロフィーを含む深刻な疾病にも給付金が支払わ れます。子どもが成人すると、大人用の重大疾患保険プ ランに切り替えられるという利点があります。
「おかげさまで多くの保護者のみなさまにこのプラン をご利用いただいています。対象年齢のお子さまをお持 ちのクライアントにお伝えし、利用されるかどうかご検討 いただきます」
Kingston出身の19年 間MDRTメンバーである Carla Osherla Ashley-Grant, LUTCF, MFAはこ れらの新商品にビジネスの可能性を見ています。
「サービスが行き届いていない地域には成長の可能性 があります。手つかずの市場に切り込んでいく戦略が必 要です」と言います。
引受査定を必要としない商品への移行だけでなく、最 近では従来の生命保険商品よりもエクイティ型商品が好 まれているとAshley-Grantは指摘します。残念ながら これらのタイプの商品は手数料が削減された上に、通常 は他の商品に変換できません。
何年もの間、ジャマイカの人口の約20%が貧困層でし た。2018年に大きく変化しその比率は12.8%まで減少し たものの、コロナの影響で再び経済的に苦しい状況に陥 りました。しかしアドバイザーは思ったほど深刻な打撃を 受けませんでした。
Ashley-Grantは経済状況に収入が影響されない業 界や個人にフォーカスしています。そして景気の変動を 利用して見込客に声をかけています。
「現在の経済状況を利用して、保険による解決策をクラ イアントに提案しています。経済が落ち込んでいる時、人 はより多くの生命保険に加入する傾向にあります」と言 います。
Jarrettは保険販売だけでなく、重大疾病保険のよう な補完的商品や投資サービスを提供することでクライア ントの生活の質を向上させることを目標にしています。
「ジャマイカ人が目覚める時が来ました。パンデミック が後押しとなりました。ジャマイカの経済は市民にとって 不利なものであり、人々が少しでも快適に暮らすために は何らかの不労所得が必要です」と言います。
そして過去数十年の混乱にあっても、保険と金融サー ビスがジャマイカ経済と市民の生活に貢献してきたと Chin-Coffieは指摘します。
「金融セクターで提供するサービスは、人が生きていく ために無くてはならないものです。そして最終的に、より 良い国を創ることになります」と彼女は言います。