PHOTO: Erich Saide
Clay Gillespie, CFP, CLUを動かすのは生来の好奇心です。カナダ・バンクーバーの22年間MDRT会員であり、コート・オブ・ザ・テーブルを1回、トップ・オブ・ザ・テーブルを19回獲得し、成功を収めています。それでもなお彼は知的好奇心に駆り立てられて世界中の仲間のビジネス形態を研究し、新しいアイディアを理路整然と取り入れています。知識の強化や他の視点を大事にしています。特に不快に感じたり自分の思い込みを試したりするような視点の分析に注力してきました。そして今年9月1日からの新年度には事務局長として役員会に参加し、変わりゆく世界でMDRTの旅路を導くことになりました。
新人時代
Gillespieは10年生(高校1年)のとき進学指導の先生との面接で残念なアドバイスをもらいました。「大学進学は難しいから工業技術を学びなさい」と言われたのです。強気な若者なら誰でもすることですがGillespieはその助言を無視しました。数年後、ファイナンスの学位を取得し、新卒としてRogers Group Financialに就職しました。経営者のJames E. Rogers, CLU, CFPは50年間MDRT会員で、2008年にはMDRT会長を務めました。
ファイナンスの学位は金融サービス業でキャリアを積む基礎となりましたが、この職業の仕組みを理解するには数年間の実地訓練を経験する必要がありました。そこで当初は半分の時間を顧客サービスに費やし、残り半分はRogersのアドバイス業務に直接携わりました。また知識を増やしてアドバイザーの資格を得るため、すぐに勉強を開始しました。
GillespieはRogersが友人ではなくメンターであることに徹し、建設的なフィードバックで学ぶのを助けてくれたことを感謝しています。やがて彼はシニア・アドバイザーの信頼を得てより大きな責任を担うようになりました。「最終的にRogersの保有契約の重要な部分を任されました。私ならできると判断してくれたからです」と言います。
アドバイザーvsセールス・パーソン
数年後Gillespieは産業精神分析医の診断を受け、「別の仕事の方が向いている」とあからさまに言われました。しかし高校時代の進学指導を思い出し、学校では自分の才能を十分に発揮していなかっただけではないかと考えました。精神分析医の診断については、今も昔も従来の意味で優秀なセールス・パーソンでないことを自覚しています。しかしRogersはクライアントに対する成果に注目して彼にアドバイザーの才能があることを見抜き「どういうわけかクライアントからは信頼されているようだ。君なら大丈夫」と言ってくれました。
Gillespieはアドバイザーとなってからもいくつかの大きな案件でRogersと協力し、最終的にRogersが引退したとき、彼の株式を買い取りました。Rogersの会社は新しいアドバイザーを迎え入れ、育て、独立して事業を経営できるように育成することで存続し続けています。
Gillespieはキャリアの出発点となった現在のRGF Integrated Wealth Managementの最高経営責任者となり、新しいことに挑戦し教育を追い求めることによって成長しています。
「そもそも学ぶことを止めたら、この業界にいるべきではありません。後れを取って役に立たなくなります」と語るGillespieは資格を8つ持っており、そのうちの3つはパンデミックで時間ができたときに取得しました。
Gillespieにとって勉強することは自分を改善するための挑戦であり、専門知識の強化はクライアントに仕える上で不可欠です。
期待値の設定
Gillespieの事業は退職後の収入計画に焦点を当てており、退職まであと5年の見込客をターゲットにしています。得意客は彼のプランニングとポートフォリオ管理のおかげで引退生活を快適に過ごしています。
見込客に会ったときに安心させる手法として「普通は自分だけの退職について計画を立てるものですが、私は毎日さまざまな人の退職後の資金計画を立てています」と説明します。2回目か3回目の面談で自分の役割は友人とは違うと告げます。「友人や家族は自分の視点で助言するので、良かれと思っても悪いアドバイスになることがあります。私の仕事は情報を提供してお客さまが情報に基づいた判断ができるようにすることです」と話します。
またクライアントと長期的な投資パフォーマンスの期待値を設定し、株式市場が上昇するときと下落するときでは自分に対する印象が大きく変わるだろうと説明します。「次に何が起きるのか分かっているので、それを基に戦略を構築します」とクライアントに不況になったときの心の準備をさせ、不況は一時的なものでありプランはボラティリティを予測して乗り切れるように設計されていることを理解してもらいます。
Gillespieが決まって使うこのちょっとした台本は、退職後の生活を通じてお客さまに繰り返し自信と励ましを与えています。
そもそも学ぶことを止めたら、この業界にいるべきではありません
ビジネスが成長するための委任戦略
Gillespieの勤務時間の約半分は2人のアドバイザーと3人のサポート・スタッフからなるチームと共に行うクライアントとの仕事や自身のアドバイス業務に、残り半分はRGFの最高経営責任者としての仕事に費やされます。後者の仕事内容はコーポレート・チームの12人のメンバーを監督して彼らと毎週個別に、また69人のスタッフ全体と毎月ミーティングを行うことを含みます。
経営者としての責任があるとアドバイス業務に集中し切れない可能性も出てきますが、Gillespieはビジネスのミクロとマクロの視点に立つことにより知的刺激を受けることができると言います。
役割が増えたためGillespieはクライアント関連の仕事の多くをチームに任せて自分の時間を確保する必要がありました。「よくある間違いは簡単な仕事だけ任せることです。委任とはそういうものではありません。クライアントとの関係を委任し始めるとクライアントは自分以外の人に電話をかけるようになります。自分の重要度を下げるために委任したのですが築いた人間関係を手放すのは心穏やかではないでしょう。しかし停滞期を乗り越えて成長するにはこれしかありません」と語りました。
お客さまとの関係を含め有意義な仕事をチームに任せてその能力を最大限に引き出すことはGillespieが自身のアドバイス事業の将来を確かなものにし、RGFが次世代のアドバイザーやリーダーを育てるために必要なことです。
新しいアドバイザーを採用して未来のリーダーへと成長させる手法により、アドバイザー主導のこの会社は50年間続いてきました。RGFがこのプロセスに従うのは独立した企業であり続けるため、リーダーが自分の働く環境をコントロールし、収益性だけでなく顧客体験の向上に基づいて決定するためだと語りました。
現在RGFは、デジタルでアポイントメントやコミュニケーションを取るといったオプションを設けお客さまが自分の顧客体験をカスタマイズできるプロジェクトに取り組んでいます。「どのように連絡を取るかを私達が決めるのではなく、お客さまがどうしたいのか私達に指示するのです。お客さまの希望に基づいて関係を築いていく努力をしています」と言います。カスタマイズされたサービスを提供することが大手企業との差別化につながると考えています。
違いを生み出すことができるのはセールス・パーソンではなく経営者の視点があるからです。「私達の仕事はセールスですが、皆が考えるような営業マンではありません。お客さまにとって何が最善で最適なのか、私達はそれを売っています。商品がたくさん売れるとは限りませんが、最終的な利益ははるかに多くなります。このアプローチから生まれる紹介は長期的な成功をもたらします」と説明しました。
MDRTにおけるリーダーシップ
MDRTのベテラン会員がいる会社でキャリアを積んできたGillespieにとってMDRTの活動に参加することは自然な流れでした。彼は3回目のアニュアル・ミーティングでPGAに志願し、すぐに他の会員と交流し長期的な友情へとつながる人間関係を築き始めました。
1つのボランティアが別のボランティアに呼ばれるきっかけとなり、Gillespieはさまざまな委員会を経験することになりました。2019年にはトップ・オブ・ザ・テーブルのAdvisory Board Chair(会長)、そして現在は財務ディビジョンのグローバル・カウンシル・メンバーを務めています。こうした任務によって世界中から集まったメンバーと接するようになり、この職業に対する新しい見方を知る機会が増えました。「先のことが分かる人はいないと思います。私達は世界でどのような変化が起きているのか考えることしかできませんが、それを把握する唯一の方法は他の人と話すことです。他の国では何が起きているのか、どのような規制があるのか、他の人達はどう対処しているのかを知ることができます」と語ります。
Gillespieは「自分と同じ意見を聞くだけでは何も学ぶことができません」と言い、好奇心からさまざまな意見を聞きに行きます。新しいコンセプトは慎重に比較検討し、不用意に取り入れることはしません。1年を通してアイディアを収集し、毎年10月に翌年の個人的なビジネスプランを書き出すときに全てを比較検討します。「これにより事業経営という枠組みの中でどのアドバイスが理にかなっているかを判断できます。その際ワクワクしたかは決め手になりません」と語りました。
Gillespieは成長や変化に意欲を示しつつ、新しいアイディアは厳選した上で検討し取り入れるバランスの良さがあるのでMDRTを導くのに最適な人物です。地域によって消費者もテクノロジーも異なることから、この仕事はどこでも同じことをすれば良いわけではないこと、それがMDRTの利点であることをGillespieは理解しています。異なる視点を聞く機会があるため組織は前進する最善の方法を見つけ出すことができるはずだと信じ、仲間と協力しながら役員会のメンバーとして自分の視点を提供するつもりです。「多様な意見を交わしたいと思います。役員会が集まって決定を下すときは、見落としがないことを確認する必要があります」と語りました。
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Clay Gillespie cgillespie@rgfwealth.com