お客さまが身の丈以上の生活をしているかどうかをどうやって判断しますか。また、それが分かったときどう伝えますか。MDRT Podcastの収録で参加メンバーに顧客の事実認識が間違っている場合にどのように顧客との信頼関係を構築するかについて意見を交わしていただきました。(本エピソードの全編はmdrt.org/what-clients-do-and-don’t-haveでご視聴いただけます)
参加メンバー:
Peter Jason Byrneオーストラリア・クイーンズランド州、15年間MDRT
Danielle J. Genier, CLU, CFPカナダ・オンタリオ州、24年間MDRT会員
Jonathan C. Godshall, MBA, LUTCFメキシコPuebla州、9年間MDRT会員
Randall D. Kaufmann米国ペンシルバニア州、42年間MDRT会員
Godshall: そもそもある顧客を裕福だと思うのは、その暮らしぶりを見てそう思うわけですが、本当はそうではなく見せかけだけということもあります。大金持ちであると見せびらかしたい人がいます。高級車も豪邸も何もかも持っていますが、毎月稼いだお金を全部使い果たしています。だから貯蓄に回す資金がありません。
Genier: そういう人たちは自分が裕福だと思い込んでいますが、実はそうではないので会話が難しいです。予算の立て方について基本的な話をする必要がありますが、そういう話題は気が引けるものです。私はいつも「選択の余地は無い」と自分に言い聞かせます。この話は避けては通れません。お客さまは驚いて「私が使い過ぎているってどういうこと」と言います。私は「そうです。支出超過です。この赤字に手を打たなければなりません」と伝えます。少し前にも同じような状況に遭遇し、そのお客さまにずっと寄り添いました。もうすぐ引退するので「Danielle、目を覚ましてくれてありがとう」と感謝されるでしょう。
Kaufmann: その通り。認識と現実は違います。ある見込客と出会ったとき、私にも思い込みがありました。お互いに信頼を構築するのにおそらく1年はかかったと思います。やがて極秘事項を打ち明けられる仲になりました。彼のビジネスは右肩上がりだと思われていましたが、実際は正反対でした。彼はそれを誰にも言えずにいたのです。結果的に私はその事実を引きずり出すことに成功し、素晴らしい信頼関係を築くことができました。その後、彼は他のアドバイザーをチームに加えて、ビジネスを軌道に乗せました。誰かを信頼して助けが必要だと認めれば済む話でした。私たちの役割はまさにそれだったのです。そのための環境を整えました。とてもやりがいがありました。
最初は手ごわかったクライアントと後に良好な関係を築いたケースでは、どのような出来事がありましたか。
Kaufmann: 連絡を取り合い、仕事の相手を大切にすることについて話しました。直感的に「何かある」と感じ、最初は相手が思うように心を開いてくれなくてもいつか一緒に仕事をしたいと思わせるような人はいませんか。まさにそんな感覚でした。「いつかコーヒーでも飲みに行きましょう。調子はどうですか」そんな会話を交わしながら関係を育てていくのです。90日くらいかかりました。「私の会計士と会ってほしい」そう言われたのが最初のステップで、そこから 「どうすればビジネスをもう一度軌道に乗せることができるか」という本題に移行しました。
先ほどの話の続きです。Jonathanはお客さまが見かけほど裕福ではないと気付いたときの面談はどのようなものでしたか。詳しく教えてください。
Godshall: そうですね、1回だけではありませんでした。何度か感じたことがありました。でも彼らとのビジネスを諦めてはいけないと思います。今は適切な時期ではないかもしれませんが、彼らに使い過ぎていることを知らせなければなりません。それを調整して、将来ビジネスができるようになることが理想です。最初は無報酬で本当に役に立つアドバイスをしてあげても良いでしょう。必ず後で感謝され、あなたの顧客になってくださいます。
バイクは6台もいらないと指摘されて、キレた人はいますか。
Godshall: まあ、そういうことはないと思います。誰も直接言わなかったのでしょう。
Genier: 身構えるでしょうね。
Godshall: はい、確かに身構えます。でも、キレるというのとは違うと思います。確かにキレる人もいるでしょう。アドバイスに全く従わない人もいる。人それぞれですね。
Genier: あなたの話を聞きたくない人はクライアントにはならないし、彼らのためにファイナンシャル・プランを設計しても電話をかけてくることはないでしょう。それでいいのです。自分の役割を果たし、彼らに真実を伝えたのですから。彼らは体裁を整えるために私を雇っているのではありません。私は彼らに真実を伝えるために働いているのです。
Kaufmann: 逆も考えてみましょう。何人か見てきましたが、私が想像していた状況とは違っていました。保険に入らず、何の計画も立てていない人もいます。でも全員ビジネスで成功を収めています。ある人に「あなたの事業承継プランについて少し教えてください。他にどんなプランをお持ちですか」と質問して仰天しました。何も無かったのです。どう育てていけば形になるのか、いつも驚かされます。自分たちの将来について誰かに質問したり、少し相談すれば良かったのに。少なくとも私たちのマーケットでは公認会計士や顧問弁護士のような専門家とコミュニケーションをとっていない経営者が多いことに本当に驚かされます。会計士にも弁護士にも専門の仕事があります。しかし時として、アドバイザーは思っている以上にクォーターバック的な役割を負っていることに気がつきます。ある種の専門家に相談するだけで、突破口ができビジネスにつながります。驚くべきことです。
Byrne: Randy、その通りだと思います。それが私たちの仕事です。だからこそ、その手の質問をしなければなりません。顧客が何を持っていて、何を持っていないかを推測することはできません。しかしビジネス市場では、非常に成功している経営者が、しかるべき保障や後継者、遺言書さえも持っていないというケースが多々あります。それなのに弁護士や会計士といった専門家はいるのです。オーストラリアではアドバイザーはプロジェクト・マネージャーに近い役割を担っています。クライアントに「思っているほど難しくない」と諭し、全てをひとつにまとめ上げる手助けをします。彼らはそのようなサポートを求めています。不足しているものが何かを推測することはできません。もし不足しているものがあれば、本人がそれを理解していないことを指摘します。だから、私たちは自分の役割をしっかり果たさなければなりません。物事をかみ砕いて説明し、他の人たちによって作られた多くの混乱を解きほぐしたり、何年も前に契約したのに放置されている保険を見直す必要があります。
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