私は紹介ベースのビジネスを構築していました。仕事は順調でしたが新規顧客が増え続けると既存のお客さまにきちんとしたサービスが提供できなくなると感じていました。1日の時間は限られているので何とかする必要がありました。新規のお客さまを受け入れるのをやめるか、既存のお客さまのサービスを引き継ぐ人を事務所に迎えるか決断を迫られました。新規顧客の開拓をやめるつもりはありませんでしたが、適切なアソシエイトを見つける難しさは予想していませんでした。
私が最初に迎え入れたアソシエイトは経験豊富なアドバイザーでした。彼とは新人の頃からの知り合いで気心の知れた関係でした。私のビジネスの成長を手助けし、彼がサービスを提供する顧客の数を増やすというアイディアを気に入ってくれました。彼には「私が理想とするマーケット以外の顧客や新規顧客をあなたに引き継ぎたい。私の引退はずっと先のことだが、いずれはあなたに私の顧客の大部分を引き受けてもらうことになる」とはっきり伝えました。彼はその条件で合意してくれました。しかし6ヶ月後、彼は私との相談もなく新たな顧客リストを購入して1,500人の顧客を抱えることになりました。つまり、私の後任としてクライアントを任せることはできなくなったのです。私達は率直に話し合い、別れることにしました。
私は2人目のアドバイザーを雇いました。彼にも経験があり、少しずつクライアントを移行させることにも納得してくれました。性格が良くスタッフからも愛される人柄でした。しかし積極的に顧客と接触するのではなく、先方が連絡をしてきたら対応するという姿勢でした。ある日彼は私に、管理職のポジションに応募したが、もし不合格でもこのオフィスで働きたいと言いました。しかし、私は彼の第2希望になりたくありませんでした。たとえ彼が今回は不合格になったとしても彼は再挑戦するでしょう。その時私の立場はどうなるのか。結局、私達は別れることにしました。
この時点で、アソシエイトと別れるたびに離婚を経験しているような気分でした。その上、元アソシエイトと彼のクライアントに事務所から引き上げてもらうという余計な仕事も加わり、スタッフの負担も増えました。自分にふさわしいアソシエイトを見つけることはできないのかと諦めかけていました。
そんなとき、うってつけの人物が現れました。現在は1年目MDRT会員のMichael Allen, BBA(カナダ、オンタリオ州)です。事務部門のマネージャーからの紹介でした。ふたりは大学時代からの知り合いでしたが、最近まで交流はなかったそうです。Michaelは当時の仕事に満足できず、転職を考えていることを友人である私のマネージャーに打ち明けたそうです。地元のカジノで働いていたので金融サービスの経験はありませんでした。私は彼を1年間指導することに同意しました。基本的にこれはデートの意味を含んでいました。相性を見極めたかったのです。適任だと判断するのに9ヶ月かかりました。
適切な人材を探すことはできましたが、どのように顧客を移行すればよいでしょう。私のトップ・クライアントのほとんどは退職間近、もしくは退職後の方なので、退職後の資産税対策が私の主なマーケットです。当時30代後半だったMichaelには比較的若いクライアントを担当してもらいました。新規にいただいた紹介はそれぞれの理想とするマーケットに基づいて担当を決めました。しかし最も重要なのは、Michaelに担当してもらうお客さまには私が彼らを見捨てたわけではないと分かってもらうことでした。クライアントをMichaelに移行するまでの2年間、年次レビューにはふたり一緒に臨みました。この2年間が重要だった理由は、私からMichaelに信頼という財産を移譲できたからです。顧客との面談で私達は基本的にチームとして動いていることを伝え、それがより良い顧客サービスにつながることを強調しました。
報酬に関しては、ディーラーに別の取扱者番号を設定してもらいました。共同募集の案件はその番号に割り当て案件から得た収入を折半することにしました。Michaelがクライアントを買い取る時期が来たときは当初の価値プラス成長分の50%を加えた金額としました。この取り決めはうまくいき、私達双方にメリットがありました。
後継者を確保するためにアソシエイト・アドバイザーを迎えればいいと考えがちです。しかし、アソシエイト・アドバイザーを加えることで新たな紹介を受け、オフィスとして成長し続ける余力ができることもメリットの一つです。
Aurora Tancockはカナダ、オンタリオ州St. Catharinesの22年間MDRT会員。Contact: aurora@atfs.ca