税理士から37歳になってファイナンシャル・アドバイザーに転身したという異色の経歴をもつ持田会員。「士業で営業スキルを持つ人はほとんどいない。ライフプランナーとして成功すれば自分を発揮できる場が広がるのではないか」と考えて転職を決意したといいます。しかし、持田会員の新たな船出は決して順風満帆とはいきませんでした。「最初の2年間は全くの泣かず飛ばずでした」という持田会員は「営業をナメていた」と当時の自分を振り返っています。「自分としては税理士という資格がプラスに働いてくれると思っていたのですが、全くそんなことはありませんでした。ライセンスがあるからといって次の日からその人が信頼できる人になるということはありません。命と時間の次くらいに大事だと言えるお金をお預かりするのに、たかだか資格をもっているからと言って自分を選んでくれるということは決してありませんでした。ライセンスはあくまでも肩書でしかない。これをはっきりと認識させられました」といいます。
-経営者にターゲットを絞る
厳しい船出を経験した持田会員は、転職して3年目にターゲットを経営者に絞るという決断をしました。「保険は当然ながら、ほとんどすべての人に対して営業することができます。しかしターゲットを絞ることによって、誰にでも営業することに比べると自分の知識をより深めることができ、その分だけお客様に有効な情報が提供できると考えました」。持田会員は経営者にターゲットを絞って、保険だけにとどまらない経営者の相談相手になることを目指しました。「経営者がもつ悩みは大きく分けて4つあります。人と組織の問題。ビジネスモデルの問題。家族の問題。財務の問題です。この4つの悩みの相談相手として経営者との関係を作るようにしています。これをライフプランナーの営業スタイルに準えるとファクトファインディングを先にしていることになります。4つの悩みを聞いていると、時折この悩みには保険で解決できる部分があるという問題もでてくるのです。こういう問題がでてきたときに、初めて保険相談を開始します。つまり、オープニングインタビューをそこから始めるのです」。持田会員はオープニングインタビューとファクトファインディングを一般的な営業スタイルとは逆転させる、という独自の方法を身に着けました。「税理士だったからできるのでしょうと言われますが、そんなことはありません。経営者の相談相手を続けながら知識を蓄えて、少しずつ信頼していただけるようになりました」と持田会員は語っています。
-なぜ経営者に保険が必要か
持田会員は税理士時代に、経営者が亡くなったときの会社の厳しい状況を経験したといいます。「税理士ではその会社の資金繰りを支援できる訳ではないし、お金を貸すこともできない。オーナー経営者が亡くなってしまうと途端に会社が厳しい状況に追い込まれてしまう。そんな時、お金が無かったら救えるものも救えない。沈没していく船を安全な岸辺で見ていたようなものだ」。数億円の負債を抱えていたその会社には、社長が入っていた数千万円の生命保険だけが残ったといいます。その保険金を利用して、なんとか弁護士に依頼して破産手続きができました。持田会員は「法人営業は金額が大きいから営業したいというのでなく、経営者こそ生命保険が大切なのだ」ということを常に意識しながらファイナンシャル・アドバイザーを続けていると話しています。
-財務でもっと深く経営者にかかわる
税理士からファイナンシャル・アドバイザーに転身した当時、「税理士の資格はまったく役に立たなかった」という持田会員は、経営者の相談相手になるという独自の方法を確立してライフプランナーとしての実績を積み上げました。そして、経営者とより深く関わるようになった現在になって「税理士としての経験が生きるようになった」と話しています。そして、今後はライフプランナーの領域を越えた経営者支援を目指しています。「経営者のお金の悩みをトータルでサポートできたらと考えています。銀行との交渉などもお手伝いできたらと思っています」。「人の役に立つことが自分の充実感になる」という持田会員は、さらなる経営者支援に目を向けつつ、若いファイナンシャル・アドバイザーも育成したいと話しています。
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