出会いがきっかけとなり、自分を磨き成長させる
一度は本気でファイナンシャル・アドバイザーの仕事をやめようと考えたこともある、名古田会員。だが一番に人を想うあたたかい上司と出会い、MDRTを目指すきっかけまで与えてもらったという。
順調にファイナンシャル・アドバイザーの営業成績を伸ばしていた中、職域だった百貨店が倒産し大きな解約が出たという。当時のオフィス長は自分の数字のことばかりでまったく聞く耳を持たず取り合なかったところ、転勤してきたばかりだった当時の支社長と食事会で会う機会があった。名古田会員は頭を下げ、「120人分の解約を抱えている。どうかすぐに解約用紙を出してほしい」と直々に頼み込んだ。覚悟の上でのお願いは、オフィス長の耳にも入り叱られたが、支社長の一声により無事解約用紙を出ることとなった。
そしてその頃、退職の考えもあった名古田会員は、後日状況も落ち着いた頃、退職届を持って支社長にアポを取り会いに行った。「一生懸命働いてきた名古田をやめたいって思わせる会社って何なんだろうな」と支社長は言ったのち、「俺がオフィス長として2人でオフィス作って採用してがんばるか」とも言ったという。半分嘘だとは思ったが、こんなに立派な人がこんな事を言ってくれてもう十分だ、と名古田会員は思った。さらに支社長は次の13時からの会議を急に組み替え、名古田会員が退職届を取り下げるまで絶対に動かないと言った。会議時間となり、やがて1時間も過ぎたところで、支社長は「辞めるのをやめると言ったらすぐに帰す」と言った。迷惑もこんなに掛けているし、と気持ちの限界に達していた名古田会員は耐えきれなくなり、とりあえず「辞めるのをやめます」と言ったところ、支社長は元気よく立ち上がり「そっか!辞めるのをやめるんだな、気を付けて帰れよ!」と言ったという。そして手間暇をかけて書いた退職届はその場で破られ、ゴミ箱に捨てられた。そんな支社長を「なんてかっこいいんだ!」と名古田会員は思った。
さらに感動したのは、支社長が翌日会いに来てくれたことだった。そして開口一番に「あれから考えたんだけどな、MDRTに入れよ」と支社長は言った。それは何が何でも無茶だ、と思ったが、この一言を言うためだけに来てくれたと思うと、心が躍った。信頼できる人の言葉は名古田会員をわくわくさせてくれた。そして入会を決意し、2年後、なんとか支社長の在任中に晴れ姿を見せることが叶ったという。
当時の出会いと教えがなかったら、今の自分はないだろう、と名古田会員は語る。
一番勉強になっているのは自分自身
ファイナンシャル・アドバイザーの仕事を始めて10年目の節目の折、初めて後輩の育成に挑戦することを決めた兼子会員。5年目になるその後輩は、入社前に相談を受け、先輩としてこの仕事の厳しさや魅力を話した人だった。また年齢は兼子会員より6歳若く、幼い子どもの父親でもあった。真剣な表情で訪ねてきた後輩は頭を下げ、「1年目をピークに業績が下がり続けている。あと1年頑張ってだめだったら辞めようと思う」と語り、その1年間の指導を兼子さんにお願いしたいと頼んだという。初めてのことに驚きつつも、対話を重ね、その覚悟を感じたという兼子会員。
話し合った結果、目標は「子どもにとってかっこいい父親になること」と決めた。あえて長期的な目標にすることで、モチベーションを長く保つことができると考えたためだった。数値目標は、あまり遠すぎず近すぎない数字を設定し、とにかく小さな成功体験を積み重ねることに集中することにした。「この仕事は見込み客発見が一番だと言われるが、それ以上に大事なのは勇気だと思う。一つの言葉を掛けられる勇気、一つの行動を起こせる勇気が出せれば見込み客も発見できる」—そして①目的を持って人に会うこと②自分がコントロールできることに集中すること③徹底されたリストで管理することをテーマに、毎日のように叱咤激励した結果、たった1か月で後輩の業績は急速に伸びたという。
後輩の育成について、兼子会員は「一番勉強になっているのは僕自身。自分が“慣れ”や“当たり前”でやっていたことを伝えようとすると、いろんな気付きが出てきた」と目を輝かせる。
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