ある女性のがん保険の給付金請求手続きを手伝ってほしいという依頼を受けました。取扱者はもはや彼女にサービスを提供しておらず、給付金の支払いが6ヶ月以上も滞っていました。
ご夫妻に初めてお会いしたときのことを鮮明に覚えています。ご主人は保険という商品について非常に批判的で、詐欺だと言いました。長年保険料を払い続けてきたのに給付金請求を行ったらいろいろな不都合が生じたのですから無理もありません。娘さんにまで、母親の給付金が承認されるのに時間がかかりすぎると叱られる始末でした。
私はそのご契約を自分の管理下に移管し、請求に必要な書類をすべて入手しました。できるだけ早く給付金の支払いを受けることに焦点を絞りました。病院や医師と連絡を取り、シンガポールで行われた手術や化学療法の記録を入手しました。しかし、パンデミックによるロックダウンの最中だったので、マレーシアからシンガポールにメールや電話で連絡を取るのが精いっぱいでした。
いろいろなことがありましたが私が関わってから3ヶ月以内にすべての請求を承認してもらいました。ご夫妻はとても感謝してくれて、お礼をしたいので家に寄ってほしいと頼まれました。しかし私は、お子さま達の保険契約をアップデートしてくださることが1番ですと伝えました。お二人はためらうことなく同意し、保険料を一括で支払ってくれました。私にとって過去最高額の保険料でした。
もう一人紹介されたお客さまがいましたが、最初に連絡したときはぶっきらぼうな印象を受けました。すでに多くの保険に加入していると言っていましたが、数日後に連絡があり、私の提案内容を知りたいのでオフィスに立ち寄ってほしいと言われました。プレゼンテーションの最中、彼女は私の目を見ようともしませんでした。現在の契約内容を見せてもらった後、情報をまとめて翌日また来ると告げました。翌日報告書を携えて再訪し、既存のプランをアップグレードして保障を増やすようお勧めしました。彼女は返事をせずに見積書を置いていってほしいと言いました。
私は心の中で、お客さまのそっけなく無関心な様子から契約をお預かりすることはできないだろうと思っていました。しかし翌日、先方から連絡があり、もう一度オフィスに来てほしいと言われたのです。私が置いていった提案書がお客さまの前に置かれ、いくつかのページに黄色い蛍光ペンで印が付けてありました。多くの質問をされ、私はひとつひとつ答えました。するとお客さまは「今日はもう結構です。お引き取りください」と言いました。私は他にできることはなかっただろうかと考えながら、彼女のオフィスを後にしました。
しかし驚いたことに、翌朝お客さまからメールが届き、私の提案通りに加入したいとおっしゃいました。信じられない気持ちでした。後で、なぜ私の提案に同意したのか尋ねてみました。私がお客さまの懸念を払拭し、すべての質問に丁寧に付き合ったからだとのことでした。現在彼女は最も協力的なクライアントの一人であり、何かと私に相談してくださいます。彼女をあきらめないで良かったと思います。
Audrey Adeline Yap Mui Lingはマレーシア、Sarawakの5年間MDRT会員。Contact: muiling4870@prupartner.com.my。