こう言っては失礼かもしれませんが保険のアドバイザーの認識には問題があります。クライアントのご友人やご家族がわれわれの職業に対して必要ない保障を押し売りする営業マンというステレオタイプの印象を持っていそうなら、たとえこちらのサービスに満足していても知人を紹介することをためらうかもしれません。おそらくアドバイザーはクライアントにあからさまに知人の名前や連絡先を聞くべきではないでしょう。とはいえ見込客を紹介してもらうのをやめるのではありません。むしろ、どうして親戚や友人があなたに会いたがるのかを示すべきだと、台湾の台北を拠点にする9年間MDRT会員Marcus Ta-hung Kuanは言います。
「私たちがどんなコンサルタントで、他のコンサルタントとどう違うのかをクライアントが理解すれば、もっと積極的に紹介してくださるはずです」
表現を変える
「友人や家族に保険の募集人を勧めたら気を悪くするのではないか」というクライアントの不安を払拭するには皆さんが「すてきなアドバイザー」というだけでは十分ではありません。紹介すると相手のストレスになり、責められはしないかと心配されるからです。
「『紹介していただけるご友人はいますか』と言うだけでは、クライアントは『考えて後でお返事します』と言って、私たちを避けたり断ったりします。その代わりに紹介を依頼するとき私は『第一印象と話を聞いた後では、私の印象は変わりましたか』と尋ねています。はっきり変わったと思ったところを2つか3つ話していただき、それをご友人やご家族にも伝えていただきます。そうすれば紹介対象者は私を事前に知ることができ、初対面で会う前から親近感を持ってもらえます」とKuanは述べました。
クライアントに印象の違いをはっきりと分かってもらう段階に進むには商品を押しつけるのではなく、まずリスク軽減や必要なサービスを一緒に考えることが先決です。「自分の仕事は保険営業ではなくお客さまが適切な保障に加入するお手伝いだと分かっていました。良い商品があるのですが、興味はありますか、というような切り出し方はせず、常にお客さまのニーズを第一に話をします。私は見込客に『ご心配なく。私たちは初対面です。何も売ったりしません。買いたいと思われても、こちらから提供するものはありません』と述べます。こう話すことで相手は安心します。ニーズを話し合い、それに基づいた提案や保障の設計をすることで、本当にお客さまのリスク分散のお手伝いができることを分かっていただきます」
新米、ベテランにかかわらずアドバイザーが紹介を得るためのもう一つの鍵は顧客数を増やそうという意識を持つことです。「顧客になってくれる人をもっと紹介してほしい、というモチベーションを常に持つ必要がある」とKuanは言います。
紹介依頼の方法はキャリアの段階によって異なります。例えば、まだ人脈が少ない新米アドバイザーは紹介依頼のターゲットを最近金融や関連トピックについて話をした友人や親戚に絞る必要があるかもしれません。またその人たちが、アドバイザーには深い専門知識があると理解するようになれば、見込客を紹介することに抵抗がなくなるかもしれません。
明確なコミュニケーションが鍵
「アドバイザーにありがちな間違いは専門性を誇示しようと専門用語を使いすぎること。専門用語を多用してプロらしく見せたつもりでしょうが顧客には理解できません」
彼は次の4つのステップで、複雑なことをシンプルに説明しています。
共感する- クライアントの立場に立って提案書を作成します。お客さまは保険用語や商品になじみがないので、図表や写真など視覚資料を使って理解を助けます。
練習する– 事前に同僚を相手にプレゼンテーションのリハーサルを行い、批評してもらいます。
調整する- 練習相手の同僚から返ってくる感想は保険をよく知らない顧客の視点とは違うため、クライアントとの面談時には相手の反応やボディランゲージを注意深く観察してください。そして相手が理解できる質問をしているか、相手は期待通りの反応を示しているか確認してください。質問内容や説明の仕方を工夫することで次回以降の面談をよりスムーズに実行できます。
確認する – クライアントに面談で理解した点を簡単に説明してもらいましょう。もし、こちらが理解してもらいたいポイントが抜けていたら、その場で伝えます。
「クライアントが分からないことを分かるように伝えるには練習が必要です。話を理解してもらってこそ私たちはプロだと胸を張れます」
Bruce PengとSean YuはMDRTアジア太平洋市場向けのコンテンツ開発を支援するコミュニケーション・エージェンシー、Team Lewisのライターです。連絡先 mdrteditorial@teamlewis.com。
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Marcus Ta-hung Kuan kuan.marcus@gmail.com