参加メンバー:
Yakov Baylis, CLU, ChFC米国イリノイ州Downers Grove、6年間MDRT会員
Edward M. Burnett, RICP米国ウィスコンシン州Kenosha、9年間MDRT会員
Russell L. Clousing, CLU, ChFC米国イリノイ州シカゴ、30年間MDRT会員
下げ相場で保険を解約したり、投資を投げ出したりする方はたくさんいます。アドバイザーのアドバイスを無視したせいで家族に何も残せず、ビジネスを危機にさらした結果、悲劇的な死を遂げた方もいます。今回のMDRT Podcastのエピソードで、MDRT会員が期待通りに行かなかった事例と、その経験からの学びをシェアしました。
Clousing: ミスに分類するべきかは分かりませんが、お客さまのために作成した提案書が採用されなかったことが何度かありました。あるいは異なる内容に変更されてしまい、お客さまのご家族に大きな経済的損失を与えてしまったこともあります。引き受けを担当したケースの中には、100万ドル、200万ドル、300万ドル規模の保険金だったものもありますが、すべてお客さまのニーズに基づいて算出しています。唐突に決めた金額ではありません。中にはご夫婦がそろって「私達に保険は必要ない」と断ったケースがありました。6ヶ月にわたってミーティングとレビューを重ねて算出した適正な保障額でした。私は「これはお客さまのご要望に従って計算された金額です。あなたに万が一のことがあった場合に教えてくださったご希望をかなえるために必要な金額です」と説明しました。ご主人は仮査定で承認を受けた金額はいくらかと尋ねたので、私は相談した通りの額を答えましたが「50万ドルで十分だ」とおっしゃいました。
顧客の要望ですし50万ドルあれば現状よりはマシなので受け入れました。ところが保険証券が発行されて6週間後にご主人は亡くなりました。ご家族に小切手をお渡しし、できる限りご遺族に寄り添いました。ありがたいことに、私はすべての会話内容を記録していました。このご家族はまだ顧客ですが、私達のペンの一筆が人々に与える影響はドラマチックです。実際に経験するまでは、本当にそのインパクトを理解することはできません。
せっかく査定中だった契約を取りやめた後、間もなく亡くなった方もいました。家族経営の共同経営者で保険金は2,000万ドルの予定でした。ご兄弟達も同席してミーティングをしているときに、ご兄弟のひとりが「私達は互いに支え合っている。ゼロからビジネスを始めたので保険は必要ない」とおっしゃいました。しかし、その2年後クライアントは亡くなりました。今ご兄弟は厳しい不況の中で事業の一部を清算し、未亡人に事業から手を引いてもらうために株式を買い取る資金を調達しています。私達は崇高な職業に就いていますが、残念な事態を目の当たりにして、初めてアドバイザーとして何ができるかを十分認識することができるのです。
その結果、何を変えましたか?
Clousing: 狂ったように何でも記録しています。電話した、メッセージを残した、という細かなところまで記録します。それをそのままCRM(顧客管理システム)に入れています。「Bobに電話。引受査定がOKだった。伝言を残した。10日後: Bobに電話。伝言を残した。返事なし。Bobに電話。面談の約束…」これらはファイルに保管されています。自分の責務を果たしたかどうか疑われたくありません。自分でノーと言ったか、イエスと言ったかを必ずしも完全に理解していない人を相手にしているからです。それをコントロールすることはできませんが、お客さまのためにも自分のためにもプロセスを文書化し、両者を保護する必要があります。
Baylis: シカゴSouth Sideの治安の悪い地域に住む若いお客さまがいました。彼は教師で家族の中で唯一の成功者でした。彼のために適切な生命保険を用意したのですが、彼はそれを解約してしまいました。後で直接会って、生命保険に入っておくべきだと説得したのですが、彼は投資の話に興味があり、その話題が中心になりました。「この世は何かが間違っている。もう何もない」とどこか上の空だったので、その日は何のアクションもとりませんでした。数ヶ月後、彼が車の中で射殺されたことを知りました。ご家族にお届けできる保険金はありませんでした。彼は家族に頼られている存在だったので、保険に加入していれば残されたご家族にとって大きな助けとなったはずです。
この事件が起きる前は、妻に生命保険に加入して私を受取人にしてほしいと頼む勇気がありませんでした。けれど、その日帰宅した私は妻に「君には生命保険が必要だ」と切り出しました。「あなたには保険が必要だ」と言うのは勇気がいります。アドバイザーならご存じでしょう。同時に自分が受取人となる契約は少し心が揺さぶられます。私達は将来子どもが欲しいと考えているのでその家族を守る必要があります。妻は私のビジネスを全面的に支えてくれていますし、もし妻に何かあったら、誰が家族の面倒を見てくれるのでしょう。
Burnett: 市場の低迷に心底おびえているお客さまがいました。彼女はメールで私が彼女を重要な顧客とは思っていないこと、彼女の資産をちゃんと管理していないことを指摘して認めさせようとしました。「詐欺師」という言葉さえ使いました。実は以前にもこのような経験がありました。私は思案しました。待てよ。私はそんな人間ではない。反論しなければ。そしてメールを作成し、読み直してから送信しました。後日、私はこのことをメンターに報告しました。私はひとつ過ちを犯していたことに気付きました。非難めいたメールを受け取ったときはコンプライアンスの観点からすぐに返信すべきではなかったのです。
私は何も悪いことはしていませんでした。でも私は誇り高いイーグル・スカウト(米ボーイ・スカウトの最高位)なので大声で自分の正当性を示したかったのです。私は倫理的な観念を持ち、きちんとしているのにこの女性に責められているように感じました。しかし、実際は私が彼女の期待値に見合うサービスを提供していなかったのです。そこは私の過ちでした。彼女のメールに腹を立てるのではなく、電話をかけて「メールを読みました。話し合い、状況を改善しましょう」と言うべきだったのです。彼女は今も私の顧客です。市場が回復するにつれて、彼女のポートフォリオをもう少し保守的にしました。もともと積極的なポートフォリオではありませんでしたが、彼女には少し積極的過ぎたということです。
このエピソードのフル・バージョンはmdrt.org/dealing-with-difficult-clientsでご視聴いただけます。mdrt.org/podcastでMDRT Podcastへの登録をお勧めします。
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