個人向け営業で苦渋
小中会員は、保険代理店に所属する32歳の気鋭のファイナンシャル・アドバイザー。常に明るい口調で前向きな姿勢が印象的ですが、ファイナンシャル・アドバイザーとしての船出は決して順風満帆とはいきませんでした。母子家庭で育ったという小中会員は高校を卒業した後、水道工事やピアノ運送業などで生計を立てていました。疎遠であった父が病魔に襲われた時、生命保険に未加入だったことを切っ掛けに生命保険の大切さを痛感し、この仕事を選んだといいます。27歳になって最初に入った代理店では、お客様へ「テレアポ、飛び込み、なんでもやりました」が、なかなか成果が上がらず「給与は手取りで5,6万円という月もあった」という厳しい状況でした。
法人営業部門がある代理店へ転籍
2年間続けた個人向け営業でなかなか成果が得られなかった小中会員は、法人向けの営業にチャレンジするため、法人営業部門がある代理店へ移籍しました。この代理店に所属してすぐに「税理士事務所へ通い、税理士事務所のサポート業務を行う」というファイナンシャル・アドバイザーとしては一風変わった日々が始まりました。「フルコミッションのファイナンシャル・アドバイザーは時間が不規則になりがちなのですが、私の日課は9時出社のサラリーマンとまったく同じ状態でした。会社と税理士先生が提携していてさまざまな情報交換をしているのですが、毎日税理士事務所へ出勤しサポート業務をしたのは私だけでした。税務のこと、法人保険のこと、法人のお客様のことを知るためには、それが必要だと感じていたのです。」と小中会員は話しています。
税理士からの信頼が力に
ある時、日々通っていた事務所の税理士からお客様の保全業務について「君は結構きっちりやってくれるね」と言われ、それから少しずつその税理士から信用されるようになったといいます。「税理士先生にお客様を紹介してください、と言っても、大事なお客様を簡単に紹介してくれる訳ではない。日々接するなかで信用を高めていき、他社のファイナンシャル・アドバイザーとの差別化を図るしか方法はない。口だけじゃなく心から誠実な部分を感じてもらうことが大切で、結局のところ『人間力』に尽きると思う」。税理士事務所に通うなかで、小中会員は保険に対する新たな視点を身に着けました。税理士は保険を商品としてだけでなく政策の流れの中で理解している。政府の政策や通達が結果として保険税務に反映されてくる。その通達をしっかり確認して自分自身で理解することで、保険商品の新たな有効的な活用部分が見えてくるといいます。税理士事務所へ通い続けることで、税理士のような視点で保険を見ることができるようになりました。
代理店の社長や上司、周りの声に傾聴
税理士事務所通いは小中会員にとって法人営業の重要な部分を学ぶ場になりました。「企業会計の基礎を学べたことは私にとって大きなメリットになりました。身近に税理士先生がいることで、決算書の表面的な数字だけでなくその中身、本質的なものが理解できるようになりました。」大きな顧客基盤をもつ税理士事務所からの信頼がバネとなり、小中会員の営業成績は飛躍的に向上していくことになりました。そんななかでも「案件に大小は関係ない。1件1件、精一杯やりなさい」という代理店社長の言葉を最も大切にしているといいます。税理士事務所のアシスタントとして日々学ぶ一方で、代理店社員として社長や上司のアドバイスも大切にする。こうした人から学ぶ姿勢、傾聴力こそが小中会員の強みに違いありません。個人営業時代の辛い経験についても「あの時の経験がなかったら今の自分はありません。営業のイロハやデジタルツールの使い方など大切なことを教えてもらいました。今でも当時の社長に教えを請うこともあります」という。周りの人から貪欲に情報を吸収し、自分の力に変えていく小中会員は「数字だけを追い求める訳ではないのですが、数字=信頼の大きさ、なので数字にはこだわっていきたい。コート・オブ・ザ・テーブルやトップ・オブ・ザ・テーブルへと進んでいくのが目標だ」と、次の目標に向かって前途洋々です。
Contact: MDRTeditorial@teamlewis.com