ファイナンシャル・アドバイザーのMarianneは一見熱心そうな見込客との2時間に及ぶミーティングを終え、これからいくつかの質問をしてプランを作成することを告げました。その後、フォローアップのアポイントメントをいただきました。
見込客は士業の方で幼い子どもを持つご夫婦でした。プランには特に重要な生命保険が含まれていて、その保障額にふさわしい高額の保険料も伴いました。Marianneの頭の中では「この話は進む」という期待がありました。
しかし設計書を準備して面談を行うはずだった日の前日になって、ご夫婦から電話があり「今回は見送りたい」と言われました。
Marianneは私とのコーチング・セッションで「あの案件は絶対に必要だった」と訴えました。
私は「それが成約を逃した理由でしょう」と答えました。
お客さまより自分のニーズを優先させてしまう
私たちのニーズは見込客にとって最も醜いものです。お客さまはこの人は自分が必要としているサービスを提供するより、金もうけを優先していると感じると即座に退散します。皆さんが提供するサービスにお金を払うことは、皆さんの発想ではなく、ご本人の思いでなければなりません。
たとえイエスの返事が欲しくても、そしてそんなときこそ最適で最高のサービスを提供しようという献身的な姿勢だけを感じ取ってもらうことが肝要です。
Marianneには初回面談で信頼関係を構築する必要性についても説明しました。十分な問いかけができていたでしょうか。見込客に設計書を作成することの承諾をいただいていたでしょうか。
問いかけで信頼を築く
見込客の心変わりを減らすのに役立つ提案をいくつかご紹介します。
1. 質問の数と質を向上させる。状況設定をして問いかけることは、皆さんの仕事に不可欠ですが、すでに自分の状況を把握している見込客にとっては、比較的低い価値しかありません。信頼を構築する質問には、次のようなものがあります。
- その状況を見込客はどう感じるか。
- なぜそう感じるか。
- 皆さんのサービスを受けてどんな結果を得たいか。
- その結果、不安だった気持ちはどう改善すると思うか。
この種の質問は、必ずしも分析に必要な情報ではありませんが、新規のお客さまとの信頼関係を作るのに役立ちます。
2. 時間をかける前に相手が変化を受け入れる意思があるかを確認する。Marianneは相手からコミットメントを得ることなく、2回目のアポイントメントを設定しました。しかし、この話し合いに見込客が価値を感じているか、何か質問はないかを確認してください。話を進め、提案書を作ってもよいか尋ねてください。次の面談に見込客が進んで参加し、あなたの提案を受け入るという思い込みを持ってはいけません。
3. 心に引っかかっていることがあるか、その原因は何かを確認する。もし「考えさせてください」と言われたら、何を考えたいかを確認します。相手が納得していることと、不安に感じていることを突き止めます。あなたの能力、コンセプト、金銭的負担に不安を感じているのでしょうか。このような質問をすることは全く問題ありませんし、むしろ重要なことです。
もっと多くの見込客を導き、顧客にしたいのであれば、これはお客さまに必要なものであることを自覚していただき、次のステップに進む意思があるかを確認することから始めてください。また、皆さんが提供するソリューションは、万人向けの機能や特長ではなく、お客さまのニーズに直結したものでなければならないことを忘れないでください。すべてはお客さまのためにあるのです。