
最近の若者が最も不安を感じている金融トピックが「年金」だとは想像し難いかもしれません。
Min Gyu Leeは韓国でミレニアル世代やZ世代と呼ばれる約500人の顧客と仕事をしていますが、寄せられる質問のほとんどは年金についてです。韓国ソウルの6年間MDRT会員のLeeは国民年金にいくら支払い老後にどのくらい受給できるのか、若者の間で不安が高まっていると言います。
「この状況は韓国の出生率の低下、公的企業による収益管理、平均寿命の大幅な伸びとインフレが原因です。あらゆる点で危機に直面しており、若い世代は退職後の不安をますます強く感じています」と述べます。
金融に科学を取り入れる
幸いLeeにはお客さまを安心させる経験と専門知識があります。
大学で経済学を専攻し、特に経済心理学に引かれ学びを続けました。のちに公認金融セラピストの資格を取得し、お客さまがお金に対して抱く複雑な思いを理解するため金融心理学テストを提供しています。
「お客さまと一緒にテスト結果を見て話し合い、進むべき道を選びます。お客さまは知らなかったことを学び、自分自身について新しい視点を得るので、会話がスムーズにできるようになります」と言います。
認定を受けて以来、Leeは100人の顧客に金融セラピーを提供してきました。この取り組みにより、彼らの資産は現在少なくとも2倍、最大で5倍に増えています。
一方でLeeは、年金に関心のある全ての顧客が関連する課題を理解し、自分で財務を管理できるよう支援しています。この知識を得ることで、顧客は自分の行動を見直し貯蓄に積極的になり、年金制度に対する不安が軽減しています。
顧客の金融IQを高める
顧客が気にしているのは年金だけではありません。顧客の金融IQを向上させる支援をするのが自分の役割だとLeeは考えます。ミレニアル世代とZ世代の顧客は投資に高い関心がありますが、インフレを上回る成果を生み資産価値を維持する能力を考慮せずに利回りだけに焦点を当てていることが多くあります。Leeはまず投資の基礎について顧客を教育し、次に個々の顧客のパラメータに応じて適切な商品を推奨しています。
「投資戦略を変える必要はありません。考え方を変えて自分に合った商品を選ぶだけでいいのです」と述べます。
Leeにとって忘れられない経験があります。5年前、大学2年生だった顧客が資産運用で月々約20万ウォン(約2万円)の短期投資を始めました。Leeの指導によりその方は財務管理を積極的に行い、現在小学校の教師として働きながら4000万ウォン(400万円)以上の資産を築きました。
将来、子どもたちが私の仕事を引き継ぎ、3世代、4世代、5世代と何世代にもわたりお客さまを担当してくれることを願っています。
—Min Gyu Lee
「通常、お客さまには私から先に連絡をするのですが、彼はそれを待たずいつも先に連絡をくれました。最初は扱いづらいお客さまだと感じましたが、勉強して毎週の面談に備え、収益率を効果的に管理し、結果的にお客さまと深い会話ができるようになりました」と言います。最近Leeは顧客管理を手伝ってくれるアシスタントを雇いました。
このお客さまからファイナンシャル・アドバイザーになるにはどうしたらいいかと相談されました。最終的に教師の仕事を続ける選択をしましたが、理解、動機付け、インスピレーションを促し教育的役割を果たすLeeを高く評価し、とても頼りになるインフルエンサーとなってくれました。
優れたコミュニケーション
以前Leeは、オフラインでのみアドバイスを提供していました。徐々にズームやソーシャル・プラットフォームのKakaoTalk(LINEのようなアプリ)を介してコミュニケーションを取るようになり、隔月セミナーでクライアントと繋がるようになりました。これは時間効率を重視する韓国人に適した手段です。
Leeのコミュニケーション能力が非常に優れているため、会社側は彼を新入社員のトレーナーとして「若者の金融メンタリング」や「2030 MZ世代の給与管理ポートフォリオ」といったセミナーを実施しています。彼は入社後わずか4カ月で講師になりましたが、これはアドバイザーとしての傑出した業績と、以前から教育に興味を示していたことによるものです。当初は経験が少なかったため、上級アドバイザーやインターネットからの情報を引用していましたが、10年近く経った今では、彼自身の経験から得た洞察でセミナーを構成しています。
「経験を積んだおかげで熟練講師と見なしていただき、お客さまは積極的に面談に参加してくださいます。これが私の強みだと思っています」と言います。
今後は影響力をさらに広げていくことを視野に入れています。家族経営の事業継承や資産管理など、複数世代に焦点を当てたプロジェクトをスタートさせようと考えています。また、お客さま一人ひとりと継続して良い関係を築くことを望んでいます。
「将来、子どもたちが私の仕事を引き継ぎ、3世代、4世代、5世代と何世代にもわたりお客さまを担当してくれることを願っています」と語りました。
Kyuho NamはMDRTのアジア太平洋市場のコンテンツ開発を担当するTeam Lewisのライターです。Contact: mdrteditorial@teamlewis.com。
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