参加メンバー:
Anthony G. Engrassia, ChFC, LUTCFアメリカ、ノースカロライナ州、28年間MDRT会員
Benjamin Harding, CFP, ChFCアメリカ、マサチューセッツ州、20年間MDRT会員
Daniel Turnwald, CLU, LUTCFアメリカ、オハイオ州、12年間MDRT会員
Darren W. Ulmer, CFP, CLUカナダ、サスカチュワン州、15年間MDRT会員
アドバイザーはどうすればご夫婦に共通理解を促すことができるでしょうか。一方が相手のプランを全く知らなかったり、あるいは一方のパートナーに金銭的な決定をすべて任せていたりする場合、少なくとも両者そろって面談に来てもらうにはどうすればよいのでしょうか。クライアント・レガシー委員会に参加した会員は「当事者全員を参加させることが重要」と述べ、その理由と方法について話し合いました。
Engrassia: 1人が「プランニングをする」と前向きなのに、もう1人は「死ぬほど退屈なことに興味はない」というご夫婦がいます。両者に面談に来てもらうためにはどうすればいいのでしょうか。
Harding: 私は「あなたは普段すべての決断をおひとりでなさいますか。それとも経済的なこと以外の決断はおふたりでなさることもありますか」と尋ねます。
Engrassia: 私は「配偶者の方にも同席してもらってください。もし配偶者が私のことをお嫌いなら、これ以上先に進めませんので」と言います。そのような毅然とした言い方も一つの方法だと思います。
Turnwald:どちらか1人だけの参加はご夫婦の利益に反しますし、私たちはすべての情報を得ることができません。正確なファクト・ファインドができなければ、お客さまの時間を無駄にするだけです。誰もそんなことは望みません。また大きな案件では弁護士が関与していることがあります。クライアントが法的な書類を作成しようとしていることを察知し、本当にご夫婦が同意しているかを確認するために弁護士にアポイントメントをお願いしたこともありました。
Ulmer: すべての利害関係者が出席しない限り面談はしません。ビジネスであれば、ビジネス・パートナーが同席するのは当然でしょう。家族経営の農場であればその農場経営に携わる全員が集まらなければ面談はしません。例えば、祖父母、両親、息子と娘ということもあります。1年前から始めたことで、成果を上げていることのひとつは事前に会計士との連携や協力を行うことです。クライアントには財務書類一式はあなたからではなく、会計士から直接送っていただきたいとお願いしています。会計士との関係を構築するために、私の紹介状を作成しています。
私たちのプロセスでは見込客と面談をする前に、1分半にまとめたチームの紹介ビデオを送り、さまざまなご家族や企業に賢明な財務意思決定を下す支援をしてきた私たちの実績について説明しています。ファクト・ファインドのプロセスではすべての利害関係者の参加が必要です。その後、紹介を兼ねた面談を行い、そこで意気投合すればLetter of Engagement(誓約書)を交わします。そこにはクライアントが私たちに期待することと同様に、私たちがクライアントに期待することも明記されています。「すべての利害関係者の参加が前提であること」も含みます。ご夫婦であれば、必ず配偶者が同席しなければなりません。2人とも誓約書に署名し、共同で取り組むことになります。もしそれがビジネスであれば、ビジネス・パートナーの署名が必要です。仮に、妻が子どもの学校終わりに用事があって来られないと言われたら、「承知しました。では夜にZoom会議をするのはいかがでしょう。そうすればご自宅でできますし、少なくともおふたりそろってお話ができます」と提案します。つまり、ノーと言われないように代案を用意します。それでもノーと言われ「今、話をすればいいじゃないか」と不平を言われたら、「私たちにはプロセスがあり、あなたはそのプロセスに同意なさいましたので、そのようにさせていただきます」と言います。
Engrassia:それぞれの状況にもよると思いますが、私は異なるアプローチをとっています。ご夫婦を別々にインタビューし、それから2人を同席させます。相手が一緒にいるときには言わないようなことを聞けることもあります。
Harding: ビジネス・プランと個人的なプランに区別はないと思います。個人的な利益にならないのにビジネスを始める人はいません。だからすべてが個人的なプランです。私のクライアントの8割は事業を経営していますが、全員に対して個人的なプランニングをしています。双方のパートナーを前にして、「あなたがこの世にいないとしたら、配偶者がこの会社に求めるものは何でしょうか」といつも問い掛けます。するとクライアントは自分たちが築いたライフスタイルや、この会社を経営することにより生活にもたらすものについて話し始めます。もしどちらかが死んだら、家族は大丈夫だろうか。ビジネス・プランについてこのような視点で考えてみると、たちまち個人的な話になり、「会社は自分たちのために何をしてくれるのか」「もし自分たちのどちらかがいなくなったら、どうやってその穴を埋めるのか」について、多くのことを打ち明けてくれます。これは事業価値を判断するための実に簡単な方法です。
Turnwald:40代ぐらいのご夫婦のことを思い出しました。当時おふたりにはお子さまが1人いて、当初、ご主人は私との面談を避けようとしていました。しかしご夫婦の同席が重要であるという原則を何度も強調し、やっと面談にこぎつけました。やがてご夫婦の間に溝があるのを感じ、それが面談を躊躇していた理由だと分かりました。私は夫婦の仲を裂くようなことは決してしません。しかしある時、奥さまは夫が自分のことをあまり気にかけていないことに失望し、ヒートアップし始めていました。私は少し場を和ませようとして言いました。「この場には明らかに緊張感があります。最終的には、あなたたち2人に協力していただく必要があります。これはおふたりから共同で託されたアポイントメントとしたいのです。全員が一致した見解を持つ必要があります。私たちのうち2人だけが同じ意見を持ち、もう1人が違う意見では何の意味もありません」
最終的に私はプランニングをやり遂げることができました。ご主人は当初、生命保険など必要ないという考えでしたが、私はファクト・ファインドを経て数字を示し、なぜ夫側の一層の努力が必要かを丁寧に説明し、彼を目的地まで引っ張ることができました。連帯感をもたらす手助けをすることも私たちの仕事だと思います。ご主人が保障額を増やすことに同意してくれたのは朗報でした。おふたりは見解の違いを乗り越え、多少なりとも結婚生活を改善する手助けができたのではないか、と思っています。
Contact
Anthony Engrassia tony@wmsnc.com
Benjamin Harding ben@hardingfinancial.net
Daniel Turnwald turnwaldpractice@gmail.com
Darren Ulmer darren.ulmer@sunlife.com