ある日、Alessandro M. Forte, FCII, CFPがコーヒーの代金を払おうとしたときのことです。後ろにいた見知らぬ人が身を乗り出し、レジ係に自分がその代金を払うと申し出ました。その方がコーヒーをおごってくださる唯一の条件は彼も24時間以内に見知らぬ誰かに同じようにするということでした。英国のイングランド、サウスヨークシャーの26年間MDRT会員のForteはその約束を守りました。
MDRT Foundationの新会長に就任したForteは「フィランソロピーというのは多額の寄付をすることだと誤解している人が多いと思います。でもフィランソロピーにはさまざまな形があり、サービス・プロジェクトに参加したり誰かのコーヒー代を払ったり30分ほどアイディアを共有したり、誰かの成長を支援したりすることも含まれます」と述べました。
実はこのコーヒーの件は1996年のことで、その年にForteは自身の会社を立ち上げています。MDRT会員になる1年前のことでした。それ以来、彼の個人的、職業的な生活、特にMDRT Foundationとの関わりでシンプルなフィランソロピーの実践を続けています。成功には誰かからの助けが不可欠です。だからこそ誰かの成長を助ける人になりたいと思い手を差し伸べています。
振り返る
Forteが8歳の時、父親は肺がんで亡くなり、母親にこれからはあなたが家長だと言われました。3人の幼い弟妹がいたForteは母親を助け、父が経営していたレストランを学校の前後に手伝いました。しかし、ファイナンシャル・プランがなかったため母親は程なくして破産し、自宅を売却し、レストランの所有権を叔母に譲渡することになりました。
「母は期せずして私に人を助け、周りの人を支え、育てたいという気持ちを育んでくれました。裕福な生活からどん底を経験し、自分の家族が全てを失うのを見てきたので、同じような状況の人々を助けるためにできる限りのことをしたいと思っています。事業を始めたときもコミュニティの中で自分の立場をわきまえて人を助けるためにできることをすることが私の責務であると感じていました」と述べました。
2001年、テレビやラジオで活躍するある著名な司会者は、National Society for the Prevention of Cruelty to Children(全英児童虐待防止協会)のために700万ポンド(約12億円)の寄付を集めてくれたらForteのクライアントになると言いました。この資金は虐待を受けた子どもが裁判で加害者に会うことなく証言できるように、法廷で使うビデオ会議システムの導入に必要でした。Forteが募金活動に協力した結果、システムを導入することができ、裁判での有罪判決率を16%から73%に上昇させることができました。
「団体にとって大きなゲームチェンジャーになりましたし、自分がさまざまな組織のためにできることは多いと考えるきっかけになりました。私は募金活動のためにマラソンを数回走り、かなり大きな山に8回登頂し、サイクリング、ボートこぎ、遊び場の建設、路上生活の体験に参加し、これまでに2600万ポンド、つまり3200万ドル(50億円弱)の募金を集めることができました」と述べます。
Forteは2002年からMDRT Foundationの活動に参加しています。現在38年間MDRT会員でバージニア州DanvilleのWilliam E. McMann Jr.がアニュアル・ミーティングでのFoundationブースに来たForteに寄付しましたかと声を掛けたことがきっかけでした。Forteはまだ寄付をしていませんでしたが、クレジットカードを持っていました。
McMannが「それで十分」と冗談半分で答えたことを今でも覚えています。「それ以来Foundationと恋愛関係にあります」と笑います。当然のように毎年Foundationのブースに立ち、会員を誘い、MDRT Gives Dayの募金活動に参加し、通算寄付総額によりロイヤル・オーダー・エクスカリバーの騎士の称号を得ました。
これまで世界92カ国を旅したForteはインドのムンバイでもアメリカのインディアナ州インディアナポリスでも子どもたちの遊び場建設に参加して、MDRT Foundationの50周年を記念したサービス・プロジェクトの影響を体感してきました。「アメリカの西海岸からニュージーランドの東海岸まで、私たちが行ってきた全てのことは素晴らしく、自分ひとりでは決してできなかったことを多く実現してきました」と言いました。
今後を見据えて
ForteはMDRT Foundationのグラントに申請する方法を多くの会員に知ってもらい、皆さんからいただいた寄付がどのように生かされているかを理解できるようにしたいと考えています。すでにFoundationの40の実績を集めてあるので、Foundationが何をしているのかと、どうすれば会員が参加できるかを分かりやすく知らせる予定です。さらに会員がどんな貢献をし、あといくら寄付をすれば次の騎士のレベルに達するかを分かりやすく示すテクノロジーの導入を検討しています。より多くの情報提供とより多くの人の参加は、メンバーとFoundationの双方に利益をもたらします。毎年のMDRT Gives Dayに参加するボランティアの数が増えると、 より多くの資金が集まるのと同じです。
例えば、Foundationの委員会に今までより多くの会員の参加をお願いし、Foundationに関わる人数を増やす取り組みを進めています。主要寄付者委員会はMDRTの理事にそれぞれの友人を誘うように依頼する予定です。Foundationネットワーク・チームはすでにそれぞれのネットワークを生かしてボランティアを依頼しているので、前年より多くの方がFoundationの活動に参加するでしょう。
「私たちは皆、形や方法は違っても誰もがある意味でフィランソロピーの恩恵を受けてきました。もっと多くの人にそれを経験していただき、人間の優しさや思いやりによって小さなことでも役に立てる喜びを実感していただきたいと思います」と述べました。
Contact
Alessandro Forte sandro@forte-financial.co.uk