通常、お客さまには「蓄財したい」という願望があるので、リスク管理の意識が見過ごされてしまいがちです。一方でアドバイザーの中心的な役割は、永続的に収入が途絶えてしまった場合に備え、お客さまの生活費をカバーできる額の生命保険を提供することです。ファイナンシャル・プランニングとご家族の保障を両立させるためには、アドバイザーの対話とガイダンスの力量が試されます。私の経験をご紹介しましょう。
まず、ファイナンシャル・リスクという観点から話を切り出します。お客さまには蓄財への道を阻む思わぬリスクがたくさんあることを伝え、そのリスクにどう備えるべきかと問い掛けます。リスクに対するお客さまの意識が芽生えたら「貯蓄の目的は将来、より良い生活を実現すること」という考え方に導きます。でもその前にお金を稼ぐ方法を見つけなければなりません。蓄財のための貯蓄よりも、家計を維持するためのお金を稼ぐのが先です。しかしリスクの発生によってお金を得られなくなると、富の蓄積だけでなく、家族のライフスタイルを維持することにも影響が及んでしまいます。
そこでお客さまには「人生にはさまざまな段階があり、それぞれの段階で責任や出費が発生する」ということを理解してもらうように努めます。お金を稼ぐ能力さえあれば、各段階の道のりをスムーズに歩むことができます。しかし、多くの人は収入が途絶えてしまった場合のことを考えません。一方、収入が途絶えても生活に必要な出費はなくなりません。
このシナリオをひとつずつ重ねて提示することで、お客さまは今の生活が脅かされるリスクに気が付きます。
このシナリオをひとつずつ重ねて提示することで、お客さまは今の生活が脅かされるリスクに気が付きます。そして、資産運用の第一歩はハイリターンのチャンスを追い求めることではなく、人生のリスクに適切に対処することだと理解していただけるようになります。そして、お客さまが直面する可能性のある、そして今後直面するであろう四大リスク(死亡、障害、病気、老化)について説明し、対話と交流によって必要性を認識していただいたうえで解決策を見いだすお手伝いをします。
家庭の貸借対照表を分析して、保険とリスクヘッジの必要性を強調します。お金を稼ぐ能力がある限り、現在および将来の負債に見合う資産を作り続けることができます。しかし一般的には、収入が得られなくなり、現在および将来的な負債を返済するために築き上げた資産を使ってしまうリスクについてほとんど考慮されません。資産が不足すれば、家庭の貸借対照表は深刻な不均衡に陥ってしまいます。この収入減をどのように補うか。私はお客さまに「いくらあればご自分の責任、期待、自尊心を満たすことができるでしょうか」と尋ね、金額の見積もりを促します。その金額を白紙の小切手に書き「もし今あなたの手にこの小切手があれば、あなたの人生の選択は変わるでしょうか」と問い掛けます。
最後に、Standard&Poor’s社の配分戦略を使って、適切な資産配分比率を導き出し、投資ポートフォリオに反映させます。また保険料を見積もり、早世、病気、長生きのリスクに対処するプランを構築するお手伝いをします。ニーズに基づいた分析、財務報告書の分析、多角的な商品ポートフォリオの提案によって、お客さまが家計の健全性を維持し、リスクに直面しても恐れることなく家族を愛し、責任を果たし続けられるようにサポートしています。
Tzu Hao Kuoは台湾の6年間MDRT会員です。Contact: morris.kuo@taishinlife.com.tw