ほとんどのクライアントは自分より経済的地位の低い方を皆さんに紹介していることにお気付きでしょう。絶対ではありませんが一般的にはそうなります。経済的階層の上位にいる見込客を紹介してもらうには2つの要素が必要です。適切な戦略と適切な言葉です。どちらか一方が欠けても十分な成果は出ません。ここでは富裕層(HNW)顧客を紹介してもらうためのステップと台本をいくつか紹介します。
1. 最適な人物像を見極める
紹介を促す前に、そもそも自分にぴったりの「上位」のクライアントについて明らかにする必要があります。自分にふさわしいクライアントの人口統計学的、心理学的特徴を明確にしてください。次に現在の顧客をA・B・Cなど任意のランクに分けます。お客さまは自分より経済的階層の下位にいる人を紹介する傾向があるので、誰に依頼するかに注意しなければなりません(詳細は後述)。
2. 紹介されやすい人になる
紹介プロセスで最も重要なのは非常に紹介しやすい人になることです。そのため強力な価値による繋がりと個人的な繋がりを確立してください。紹介されるにはその両方が必要です。価値による繋がりは的を射た質問、皆さんが与える教訓、迅速なサービス、皆さんのサポートにより得られた明晰な思考や安心感によって生じます。個人的な繋がりは一緒に食事をする、お客さま感謝イベントや贈りもの、手書きのメッセージ、仕事を超えてお客さまをよく知るといった人間同士の交流によって育まれます。個人的な人間関係はビジネス上の友情に繋がり、お客さまを皆さんの事業の支持者に変えることができます。
お客さまとの旅路は3つの過程から成り立っているので、価値と個人的な繋がりを構築するときも見込客の経験、新規顧客の経験、既存顧客の経験という観点から考える必要があります。ここでは各局面での繋がりを確立することで優れた顧客体験を創造し、特別に紹介されやすくなるための例をいくつか紹介します。
【見込客の経験】
価値による繋がり。見込客の現状のプランが持つギャップを明らかにし、別の選択肢について考えさせるような問い掛けをする。
「○○様、今から10年後を想像してみてください。何が起きているべきでしょうか?お金に関して安心感を得るには何が必要ですか?」
「○○様、もしご家族を養うことができなくなった場合、ご家族は今の家に住み続けることができますか?お子さんが大学に行くための費用はどうなりますか?」
個人的な繋がり。なぜ自分の価値を信じているのか、なぜこの重要なミッションをお客さまやその他の人に届けなければならないのかを簡単なストーリーで説明する。
「○○様ご夫妻、私がなぜこの仕事の価値を確信しているのか、なぜお客さまが専門知識に基づいた経済的決断をして最善の利益を得られるよう手助けしているのかちょっとしたエピソードで説明させてください」
【新規顧客の経験】
価値による繋がり。すべてを明確に説明する。お客さまは十分な知識を持ったうえで決断したいと思っているため、新しいお客さまが私たちの仕事をきちんと理解できるようにする。
「○○様、最初の取引明細書がお手元に届き次第、私にご連絡ください。電話かZoom会議で一緒に確認しましょう。私たちが一緒に取り組んでいる事柄をいつでも100%明確にしておきたいのです」
個人的な繋がり。「弊社へようこそ」カードにチームメンバーがそれぞれサインしたり、その新しいお客さまに電話をかけたりして皆さんを選んだのは正しい判断だったと感じてもらう。
【既存顧客の経験】
価値による繋がり。クライアントの期待値を確認する作業をシステム化する。クライアントにどんな不満であれ表現する機会を与える。皆さんと仕事をする中で気に入った点や大切にしている点も定期的に振り返れるようにする。
「○○様、期待値について少し話し合いましょう。まずはご期待に添えていないところがないかを確認し、調整させていただきたいと思います。また期待に応えているところ、時には超えているところ(笑顔で)があればお聞きし、○○様や他のお客さまに引き続き行うようにしたいと思います」
個人的な繋がり。お客さま感謝イベントに招待し、皆さんとの仕事にプラス評価をしている他のクライアントと交流できるようにする。
「○○様ご夫妻、数ヶ月以内にたくさんのお客さまをお招きして特別な昼食会を開きます。招待状を郵送しますが○○ご夫妻には個人的にぜひ参加していただきたいと思っています。来ていただけたら本当に光栄です。お客さまのような聡明で楽しい人たちをたくさん招待していますのできっと楽しんでいただけると思います」
3. どのような人が最適なのか伝える
理想とするクライアントを明確に知らせることで2つのことが達成できます。第一にお客さまは誰を紹介するか気を配るようになります。第二にこのシンプルな会話がその後の紹介の種をまきます。
「○○様、お客さまの多くは私が行っている重要な仕事をお知り合いに紹介したくなるようです。もし○○様にそのような機会が訪れたときのために、私が最近行っているサービスが誰を対象にしているのか、私が一番力を発揮できるのはどのようなお客さまなのかを知っていただきたいと思います。この職業では考えがぴったりと合うお客さまを見つけることが重要です。○○様はまさに私にとって理想像のような方です。人生の大半を懸命に働き、しっかりと貯蓄してこられました。また専門家と協力して財務計画を作成・実行・モニターすることの価値もご存じです」
上記の例ではかなり一般的なことを書きましたが、必ずしもそうである必要はありません。必要に応じてもっと具体的にすることも可能です。自分のビジネスにぴったり適合する資産や収入、その他の人口統計学的、心理学的特徴に言及することができます。
数字に率直に言及するときは次のことを付け加えるべきか検討してください。
「一般的な情報はともかく、お知り合いの具体的な財務状況までご存じとは思っていません。はっきり分からなくても、それを理由に紹介をやめないでください。私たちがその方のお役に立つことができるか調べ、検討する時間は十分にあります」
4. 適切な人に依頼する
確率を考慮し、紹介を依頼する相手は基本的に理想的なお客さまの特徴を持つ人に限定してください。Cランクのお客さまがAランクの見込客を紹介してくれることもありますが、このタイプの紹介では見込客の興味を引くほどの重み(信ぴょう性や間接的な信頼感)が伴わないかもしれません。
5. 弱腰の紹介状で満足しない
紹介状を大切に扱ってください。皆さんは重要な仕事をしているので、紹介や紹介状もそれにふさわしい扱いを受けるべきです。紹介は皆さんが気に入っていて効果が実証されている方法を推奨しますが、紹介者にとって何が最適かについては柔軟に考えてください。紹介者は皆さんと見込客がうまく繋がることを望んでいますが、それは誰にとっても気持ちが良いものでなければなりません。
「○○様、お姉さんとお義兄さんに私を紹介する最善の方法について話し合いましょう。関係者全員の負担にならないように進めたいですし、うまく行けば私と話をすることに興味を持っていただけるかもしれません。
私が好きな紹介のされ方のひとつは『メールで握手』と呼んでいる手法です。レストランでテーブルを囲んでいるときに相手が入って来て私を紹介するのと似ています。具体的にどういうことなのか、簡単なテンプレートをメールで送ることができます。私が連絡を取る前にまず○○様の方からご夫妻に声をかけ『話し合いを始めるにあたってアドバイザーと簡単に電話であいさつをしませんか』とメールで提案します。ほとんどのクライアントはこの方法がストレスもなく効率的だと言っていますが、いかがでしょうか?」
誰を引きつけたいのか明確にしてください。どのような人に一番良いサービスを提供できるのかお客さまに教えましょう。双方が互いに満足すると見込まれる人だけを引き受けてください。それ以外の人は他のアドバイザーに任せれば良いのです。
Bill Catesは個人の紹介によって顧客を獲得する手法の専門家であり、The Cates Academy for Relationship Marketingの創設者です。またメイン・プラットフォームや分科会など数々のMDRT会議で講師を務め、最新の“The Language of Referrals”を含め紹介の獲得に関する複数の著書があります。Contact: billcates@referralcoach.com