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保険: 悲劇を語る vs. 夢を語る
保険: 悲劇を語る vs. 夢を語る

9月 01 2024 / Round the Table Magazine

保険: 悲劇を語る vs. 夢を語る

お客さまに恐ろしい現実を伝えることと、夢を抱かせることのバランスが必要。

対象のトピックス

プランニングに真剣に取り組むようお客さまを説得するためにアドバイザーはどこまで踏み込むべきでしょうか。

収入の減少と遺族の生活水準維持に必要な額とのギャップを数字で示し、理性に訴えますか。それとも、適切な保障がなければ死亡や病気で生活が崩壊してしまうという恐ろしい話で感情を揺さぶりますか。保険加入について見込客に説得力のある事例を提示して、加入の検討を約束していただいても、最終的には「自分は健康だから保険は必要ない」と断られることがあります。アドバイザーにとってこのような経験は数えられないほどあるでしょう。その後当人が亡くなったり、病気やケガで保険に加入できなくなることもあります。

Twyla Dawn Hardham, CFPは重大疾病保険を勧める際に「現実を直視しない」行動を目の当たりにしてきました。「『自分にそんなことは起こらない』と人は言います。節税のメリットや保険料返還は納得してもらえますが、深刻な病気にかかる可能性については聞き入れてもらえません」と、カナダのブリティッシュ・コロンビア州Kelownaの7年間MDRT会員は述べます。

納得が得られても行動が伴わなければどうなるでしょうか。Darren W. Ulmer, CLP, CLUは、遺言書の作成に二の足を踏むクライアントを抱えていました。カナダのサスカチュワン州Saskatoonの15年間MDRT会員のUlmerは、その方はご両親の遺産相続の際に兄弟と確執が生じたことを知っていました。それ以来兄弟はクリスマスの食事も共にしていないそうです。「子どもたちのためを考えて、この状態を続けるべきだと思いますか」と問い掛けました。

農業を営んでいたそのお客さまはやっと重い腰を上げましたが、話し合いは収穫期が終わってからと言いました。しかし、その数週間後、彼は仕事中に心臓発作を起こしました。一命は取り留めたものの保険加入ができなくなったため、提案したプランは破棄せざるを得ませんでした。

「彼は恐怖にかられてやっと行動する気になりました。資金はあってもタイミングが最悪でした。すぐ実行するよう強く促さなかったのは私のミスです。お客さまにご理解いただきたいのは、われわれはアドバイザーであって説得者ではないということです。最終的に決断を下すのはご本人です。明日の健康を保障することは誰にもできないので、今この瞬間が重要なタイミングだと説明しています」と言います。

自身ががんサバイバーであるUlmerには説得力のあるストーリーがあります。保険のおかげで子どもたちをディズニー・ワールドに連れて行けたこと、妻にすてきなキッチンをプレゼントできたことなどです。「『私のようにあなたも保険金を手にするべきだ』と言うのではなく、その保障のおかげで実現できたことについてお伝えしています」と述べます。

アプローチには強すぎず弱すぎずの微妙なラインがあります。カナダのブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーの11年間MDRT会員のChris George, CFP, TEPは以前あるお客さまに「今日バスにはねられたとしたらご家族はどうなりますか」と聞き、最悪のシナリオをイメージしてもらっていました。成約率は上がりましたが、手数料収入と紹介件数は減りました。親族や友人にストレスや不安を与えるような人を紹介したくないからです。

「私も自分の死や病気について話すのは楽しいものではありません。お客さまにとっても同じだと思います」と述べます。

そこでGeorgeはやり方を変え、保険は人生で起こる可能性の高い状況に備え、健康に生きる手段だと話すようにしました。プランニングをすることで勇退が近づいたお客さまは起こり得るトラブルではなく前向きな目標を設定し、より大きな未来を描くことができます。「最も発生の可能性が低い出来事にだけに備え、確実に起こる出来事に備えないのはおかしな話です」

とはいえ、お客さまを怖がらすのではなく、将来の財政を守るよう検討してもらえる程度に不安を感じていただくことは必要です。

「昨日または一週間前にあなたの身に何かが起きたとしたら、とお聞きします。臨場感を持って考えていただきたいからです」と語るのは、英国イングランドBurwellの25年間MDRT会員のSimon John Gibson, Dip PFSです。「『もし昨日または一週間前に引退していたら?もし昨日死亡したとしたら? あるいは結婚して昨日子どもが生まれたとしたら?』と質問します。これにより、実際にそうなったときのことを考え、今何が必要かを想像していただけます。未来の出来事にしてしまうと、決断は先延ばしになりがちです」

アドバイザーはストーリーのシナリオにお客さまの状況を当てはめ、生命保険にできることをアピールできます。「熱心な気持ちはお客さまに伝わります」と言うのは、オーストラリア、ニュー・サウス・ウェールズ州Windsorの12年間MDRT会員のTerry C. Johnsonです。彼のストーリー集には、43歳の若さで心臓発作を起こして急逝した父親のエピソードも含まれます。生命保険に加入していなかったので、家業を守るために個人資産を担保に融資を受けましたが、ローンの返済ができなくなり、個人資産は全て格安で売却されました。その後Johnsonの母親は親戚の家へ、2人の兄弟はガールフレンドの家に身を寄せ、一時期はガレージで暮らしました。

「アドバイザーにできることを真に理解するために、あらゆる給付金請求に積極的に関与することをお勧めします。手持ちのストーリーが増えると、見込客にうそのない真摯な対応ができ、相手にもそれを感じていただけます。私には数字やデータではなく感情に訴えるストーリーをお伝えすることが合っているようです」とJohnsonは言います。

ストーリーで溝を埋める

Steller Collectiveのストーリー・テリング主任で、2022年MDRTアニュアル・ミーティングの講演者でもあるKindra Hallは、アドバイザーと顧客の距離を縮めるには、戦略的ストーリー・テリングの背後にある心理を理解することが重要だと語ります。ストーリーは価値を説明するのに役立ちます。ストーリー探しには、以下の方法があります。

  • 話すことを箇条書きにして実際にその特性を含むストーリーを組み立てる。
  • 顧客リストを作る。名前を書き出すことで、ストーリーが明らかになる。
  • 顧客が大事にしていることをリストアップする。希望を持てること、または夜も眠れなくなるようなことが分かると、話すべきストーリーが浮かんでくる。
  • 痛い思いをして得た教訓のリストを作る。そのつらい教訓を率直に伝えることで顧客とより深い繋がりを築くことができる。
  • 皆さんのストーリーは? 加入するなら気の合う人から加入したいものです。

「人が実際にイエスと言うのは(特に目に見えないものを購入するとき)、その人の人生において価値を感じる話が聞けたときです。営業する際、相手との間に距離を感じるのなら、お客さまがイエスと言いたくなるようなストーリーが欠けているからでしょう」とHallは言います。

Contact

Chris George chris@brsp.ca
Simon Gibson sgibsonmdrt@gmail.com
Kindra Hall kindrahall.com
Twyla Hardham twyla@shfinancialsolutions.com
Terry Johnson terry@kfs.net.au
Darren Ulmer darren.ulmer@sunlife.com