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家族で守っていく
家族で守っていく

9月 01 2024 / Round the Table Magazine

家族で守っていく

家族会議を通じた将来への取り組みは次世代のお客さまを確保するカギです。

対象のトピックス

お客さまと話し合いをする際、初期段階でご家族に参加していただくことは将来起こり得る問題を防ぐだけでなく次世代のお客さまを獲得することにも役立ちます。このような取り組みは、少なくとも最初のうちは時間的な負担が大きく金銭的な見返りが少ないため見過ごされがちですが、ご家族を味方につけることができれば将来的なビジネスを確保し、ご両親から受け継いだ資産を次世代が守る助けになります。将来を見据えたアドバイザーは家族会議を定期的に実施し、ビジネスの新時代を切り開くためにさまざまな戦術を取り入れています。

正しく始める

ウィスコンシン州Kewaskumの30年間MDRT会員であるJames J. Silbernagel, LUTCF, CFPは家族会議を必須にし、特に遺言を託されたり執行したりする家族が「ストレスのない状態で私たちを知ることができる」ようにしています。

親世代にだけ注力して潜在的なクライアントである子ども世代に気付かないアドバイザーは大きなチャンスを逃していると言います。

「『お金をたくさん持っていないから子ども世代とは仕事をしない』と述べる多くのアドバイザーは機会を逸していると思います。90%の子どもは最終的に親のアドバイザーから離れます。私は今まで築いてきたものを無駄にするために一生懸命働いているわけではありません」と述べました。

Silbernagelは約10年前から家族会議を必須条件にしていますが当初は予定の調整が難しいことがよくありました。「大家族を持つ農家のお客さまが多いので日程を押さえるのが大変でした」と言います。

Silbernagelからすれば対面での会議が好ましいものの、新型コロナの間はオンライン会議を採用したので予定が立てやすくなりました。コミュニケーションの欠如は多くの家族に不和をもたらすためSilbernagelは遺言を託される人や執行する人をまず決めていただくことにしています。また検討するべき20項目以上を提示し、両親が宿題をやったか確認するという名目で子ども世代に参加してもらいます。

最初の家族会議で基本的なルールを決めます。それがお客さまの相続に対する思いについて家族に認識させる土台になると指摘しました。「書面にすることも重要ですが、遺言の意図について話し合うことも別の意味で重要です」

家族の休暇や相続といったテーマについて見直す必要があるかもしれません。Silbernagelは毎年休暇を取っているか、今後も取り続けるのか質問します。また孫に残すお金についても掘り下げます。お孫さんにすぐに相続させるのか、それとも大学進学まで取っておくのか、また大学の進学資金を全部出すのか、それとも何かしらルールを決めるのかを尋ねます。

このような初期段階での会話によってアドバイザーに対する親しみと安心感が生まれ、ゆくゆくは次世代のクライアントへと繋がっていきます。「子ども世代はアドバイザーがどんな人なのか信用していいのか、後になって悩む必要がなくなります」と語りました。

メリーランド州Maugansvilleの20年間MDRT会員のKathleen R. Benjamin, CFP, CPAは子ども世代をファイナンシャル・プランに巻き込むために親世代の目標やプランの内容を理解してもらうことにしています。

「子ども世代は親のファイナンシャル・プランの充実した内容を理解すると私たちが行っている質の高い仕事と気配りに好印象を持ちます。ビジネスとは異なる相棒のような関係が生じます」と言います。

価値を提供すればするほど次世代のクライアントはついてきてくれます。一般的にお客さまのお子さんとの最初の会話は、その方が初めて就職し退職金制度など会社の福利厚生について分からないことがあるときだとBenjaminは述べます。その後結婚したり、家を買ったりする際にアドバイザーは生命保険や所得補償保険について話し始めます。お客さまのお子さんと関係を築くためのこうした努力は資産を守ることに繋がります。

「家庭を持ったり何らかの金銭的な責任が生じ、大切な人ができたときこそ継続的な教育が重要です。例えば高度障害によって多くの家庭が困窮していることを理解してもらうこともそのひとつです」と語りました。

繋がり続ける

子どもたちと早くから接触することは次世代のクライアント構築の第一歩に過ぎません。

ノースカロライナ州High Pointの30年間MDRT会員のKathy Kueider, CLU, ChFCは何年も前に若いお客さまと信頼関係を築くには彼らの居場所、つまりソーシャル・メディアを利用する必要があることを知りました。

「既存のお客さまに連絡してお子さんに関する情報を収集し、ソーシャル・メディアで繋がる許可を得ることにしました。このやり方は10年以上前からありますが今でも次世代、つまりご両親が亡くなった後に財産の多くを相続する方々と繋がる効果的な方法です」

通常はFacebookかLinkedInに簡単なメッセージを送ります。「今日ご両親にお会いして、あなたがお仕事を頑張っていらっしゃることをお聞きしました。ファイナンシャル・プランニングについて、また私たちがどのようにお役に立てるかご質問があればお知らせください。心よりお待ちしています」

お客さまが一定の年齢に達したら少なくとも一人の成人したお子さんに面談に参加していただくようお願いします。お子さんには時々電話をしてほしいとメッセージを送ったり、退職後の投資管理や複利の効果(世界の8番目の奇跡と伝えている)についての記事を紹介したりして連絡が途絶えないようにします。 「いずれにしてもソーシャル・メディアに定期的に投稿していれば私たちのコンテンツは定期的に彼らの目にとまります。アイディアを送り続ければ私たちの名前を忘れないでしょう」と語りました。

イリノイ州Libertyvilleの26年間MDRT会員のMark E. Friese, CMFCも同様の手法を使い、Facebookで見込みがある次世代のお客さまをチェックしています。「簡単に声をかけ個人的な繋がりを持つことができます」と述べました。

例えばお客さまの成人したお子さんに赤ちゃんが生まれたらFrieseはお祝いのメッセージと大学進学のための貯蓄に関する情報を送ります。「それにより私たちが気にかけていることが伝わります」

またお客さまのペットが亡くなったときは哀悼の意を示します。

「そのペットのために動物愛護協会に寄付をすると協会はお客さまに小さなカードを送ってくれます。それは悲しみに打ちひしがれた人にとって大きな意味を持ちます」と説明しました。

Frieseはまたデータベースの管理システムであるConstant Contactを使い、お客さまの年齢に応じたメッセージを定期的に送るようにしています。例えば20代のお客さまは通常は社会保障制度の情報に関心を示しません。

「しかし60代の人はその情報が役に立つと考えるはずです。それがConstant Contactの素晴らしいところです。特定のグループをさらに分割し、その集団に合ったマーケティングを行うことができます」と語りました。

次世代戦略

次世代のお客さまと繋がりたければ同じ世代の従業員をチームに加えることが効果的です。Frieseは数年前に20代のお客さまに安心感を与えることができる若いアドバイザーを雇いました。

「若い人と同じ目線で見る必要があります。彼らは気軽にメッセージを発信するので弊社はコンプライアンス上の理由からメッセージ・アプリのアーカイブ機能を利用し、お客さまにメールを送っています」と説明しました。

Frieseはメッセージ・アプリに加え自身が第三者の経営アドバイザーとして参加している投資会社のアプリを通じて若い顧客への浸透を図っています。口座開設に最低残高が必要ないので資産がほとんどないお客さまに有利だと言います。

「口座をモニターするのにとても便利なアプリでお客さまとのパイプ役になっています」と語りました。

Benjaminも次世代のアドバイザーの存在が次世代のクライアントを維持するカギになると考えています。一部のアドバイザーは将来に向けて資産を築き始めたばかりの若いお客さまを相手にしませんが、Silbernagelと同様、それでは機会を逃してしまうと言います。若いアドバイザーを採用するのが重要なのは、年配のお客さまの子どもたちが話し合いに参加するときに同世代のアドバイザーがいる方が有利だからです。

「ファイナンシャル・アドバイザーの中には保険に対するニーズだけ満たして投資を扱わない人もいます。私は保険と投資の両方を使ってお客さまをサポートしたいと思っています。両者は相関関係にあり、お客さまの財務全体に取り組むことが重要だからです」

彼女はまた視覚に訴える家系図を利用し、お客さまの人生において家族がどのような役割を担っているのかファイナンシャル・プランにどのような影響を与えるのかを明確に描き出すことにしています。家系図の作成に当たって次のように言います。「ご家族の中で誰にお金がかかるのか、誰がお金を遺してくれるのか、お客さまは他の人に対し何かしらの義務を負っているのか知りたいと思っています」この作業によりお客さまの世界のあまり重要でないと考えられていた人々も特定することができました。

その際連絡先や居住地や生年月日を収集します。家系図は生きた文書であり、個々の役割やその他の情報に変更がないか毎年確認しています。

お客さまの人生の意思決定者についても把握することは次世代のお客さまを紹介されることに繋がる可能性を増やします。Benjaminは家族を紹介したいと申し出たお客さまから「あなたが私たちのためにしてくれていることは子どもたちにも役立つと思う」と言われました。これは資産の維持にも役立ちます。

「現在の高齢化社会において管理資産を保持できるかという重要な課題の答えにもなり得ます」とBenjaminは語りました。

Contact

Kathleen Benjamin kbenjamin1017@gmail.com
Mark Friese mfriese@friesefinancial.com
Kathy Kueider kathy.kueider@lplfinancial.com
James Silbernagel jsilbernagel@sgadvisor.net