Joel Bray, CFP, CLUは16歳のときにまだ49歳だった母親を卵巣がんで亡くした経験から2つのことを学びました。
「ひとつは人の命には限りがあり毎日がギフトだと若くして知ったことです。そしてもうひとつは、コンフォート・ゾーンを広げて自分自身を成長させ、大きな功績を残すか否かは自分次第だということです」とカナダのAlberta州Calgaryの3年間MDRT会員である彼は語ります。
Brayがこの学びを実践しようと決めたのは、17年後の2018年に父親も複数のがんを発症し65歳で亡くなった時でした。父は母の死後ふたりの子どもを育てるため仕事を辞めていたので少ない年金で生活していました。父は亡くなる前日にお世話になった病院に寄付する手続きをしましたが、病気の進行が思ったより早かったのと計画が不十分だったので、父の退職金の半分は税金で消えてしまいました。Brayは自分自身やお客さま、慈善団体に対して、資産税対策や節税を兼ねる「意図的な慈善活動」の可能性について教育する必要があると気付きました。
意識改革
そこでBrayはCanadian Association of Gift Plannersという協会の会員となり、2年後にはカナダでMFA-P(master financial advisor of philanthropy、慈善活動マスター・ファイナンシャル・アドバイザー)の資格を取得しました。Brayの目標は「未使用金」、つまり慈善団体への寄付の対象となる可能性が高いものの、計画しておかないと多額の課税を受ける対象となる余剰退職資産について、全てのお客さまにお伝えすることでした。家族、慈善団体、それとも税務署、遺産の譲渡先はお客さまの自由ですが、政府にお金を払いたい人はいないとBrayは言います。また、彼は見込客を紹介していただくと、その方へのお礼としてご指定の慈善団体に寄付をしています。そして紹介から新規顧客になった方にも慈善団体を選んでいただき寄付をしています。
その結果、慈善団体の活動に詳しくなり、お客さまが大切にしていることやその理由を把握することができ、信頼関係の構築に役立っています。また慈善団体との繋がりも確立しています。団体から頻繁にお礼のメールが届くので、返信メールで理事会や寄付者の支援に関心があると伝えています。
この記事のインタビューの直前にBrayは120の慈善団体が参加する2つのオンライン会議を行い、最高のプレゼンテーションだったと評価されました。なぜでしょうか。Brayは父親の退職金の経験から本来受け取るはずの寄付を受けられなかった慈善団体があることを知りました。その経験を踏まえ、自分は皆さんが寄付金を奪い合うのではなく、協力し、税金対策をしながらより多くの人々が慈善活動をするお手伝いをしたいと伝えたからです。
活動による恩恵
Brayには素晴らしい実例がたくさんありますが、その一部を紹介します。
- Brayが紹介を受けたあるお客さまは、アドバイザーを変えることで多額の税金を請求されました。お客さまの亡くなった父親が非常に教育を重視していたことを知ったBrayはdonor-advised fund(寄付者が寄付先を指定できるファンド)を開設し、ポートフォリオ譲渡にかかる税金を相殺し、お客さまのご両親の記念に3つの大学に奨学金を開設しました。
- あるご夫婦は資産の80%を慈善団体に寄付するよう遺言書を書き換えました。しかし必要書類を更新しておらず、既存のアドバイザーや弁護士も必要な手続きを知りませんでした。Brayはご夫婦が選んだ慈善団体への寄付が彼らが亡くなってから支払われるよう手配し、健在の間も支援できる方法を紹介しました。
- 勇退を間近に控えたアドバイザーがいました。彼は他の多くのアドバイザーと同様、お客さまの慈善活動から生まれるチャンスに気付いていませんでした。Brayはそのアドバイザーの顧客面談に同行しました。そして未亡人のお客さまが、アドバイザーも知らなかった数百万ドルの資産を所持していることを発見しました。200万ドルの株式売却益を含む資産があることが分かり、Brayは資産税対策や慈善活動に基づくファイナンシャル・プランニングについて彼女と話し合いました。「知っていることが10%だとしたら、知らないことが10%、そして見落としていることが80%あります。『意図的な慈善活動』の可能性に気付かないアドバイザーはこれに当たります」とBrayは述べます。
- あるご夫婦は会社を売却し800万ドルの利益を得ましたが、200万ドルの税金を支払う必要がありました。Brayは生命保険を使って税金を支払えば、ご夫婦の手元には600万ドルではなく、760万ドルが残ると説明しました。そしてさらに良い提案をしました。会社の株式を慈善団体に寄付し、それを買い戻すと資産が730万ドルになること。同時に慈善団体に380万ドルの利益がうまれ、合計1100万ドル以上になるというものです。「多くの人がこのような方法を知らないので、慈善団体とアドバイザーは協力し合うべきです」とBrayは言います。慈善団体は「アドバイザーへの質問」というコラムをニュースレターやウェブサイトに追加することで、質問のある寄付者を情報源につなげることができます。同様に慈善団体がアドバイザーの記事やソーシャル・メディアへの投稿で宣伝をしたり、寄付者向けのイベントにアドバイザーを招待したりすることで寄付者にさらなる知識や機会を提供することができます。
- 多くの慈善団体は生命保険は人が亡くなってからしか役に立たないと敬遠しています。そこでBrayはお客さまはもちろん、団体に向けて、一度きりの寄付はそれ以上に増えることはありませんが、同額を保険契約に使えば生きている間も価値があり、亡くなった時に8倍から15倍の寄付に繋がる可能性があると説明します。「このような寄付が集まれば慈善団体は日々の資金集めのストレスから解放されます」と彼は言います。
- Brayは子どもたちにスポーツイベントや美術館などに参加する機会を提供する地元の慈善団体で12年間理事会メンバーのボランティアを務めた後、より計画的な寄付戦略を立てるために、寄付計画諮問委員会や基金設立委員会の導入を始めました。これにより現金や小切手、クレジットカードよりも確実な方法で、より大きな寄付を届けられるようになります。
実際のところあまりにも仕事が多いので、Brayは慈善事業をサポートしてくれるアドバイザーをもうひとり雇う予定です。彼の事務所にはすでにアソシエイト・アドバイザーがひとりとフルタイムのアシスタントがひとりいて、30代後半から50代前半の包括的ファイナンシャル・プランと、60代から80代のお客さま向けのリタイアメント・プランや資産・相続税対策を通じて約140世帯のサポートをしています。
なお、彼のゴールは純粋に慈善団体に資金を寄付することであり、その結果生じる新規案件やビジネスは副産物であると彼は強調します(Brayがどのように報酬を得ているのか疑問に思われるかもしれません。報酬は保険契約の変更や新規投資、あるいはアドバイスにより信頼を得たお客さまとのビジネスから発生しています)。
「父の死がこうした話のきっかけをくれました。両親とも生きていてくれたらと思いますが、その経験があったからこそ、私は今この道を歩んでいます。1年後、さらに10年後、われわれがお手伝いした寄付や教育はどのように実を結んでいるでしょうか。それを見届けるのがとても楽しみです」と語ります。
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