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ビジネスに別れを告げずに売却する
ビジネスに別れを告げずに売却する

7月 01 2024 / Round the Table Magazine

ビジネスに別れを告げずに売却する

アドバイザーを辞める覚悟ができていない売り手との買収をスムーズに進める方法。

対象のトピックス

ビジネスの買収には調査やコミュニケーションなど多くのことが必要です。MDRT Podcastのエピソードでサウスカロライナ州Spartanburgの27年間MDRT会員のD. Kyle Atkins, CLU, CFPと、Succession Resource Group社の社長のDavid Grau Jr.が登場し、事業を売却したいがアドバイザーを辞める覚悟ができていないオーナーの願望を考慮することについて意見をうかがいました(本エピソードはmdrt.org/smoothing-out-an-acquisitionでご視聴ください)。

Atkins:買収を1件経験し、他にも2件手掛けてみて分かった最大のポイントは、「現オーナーが何を望むのか」を明確にしておく必要があるということです。ビジネスを単に最高額で売却したいというオーナーにとって私たちは最適な相手ではないかもしれません。しかしお互いのカルチャーが調和し、夕日に向かって徐々に船出しようとしているオーナーであれば理想的な引き継ぎ先になれます。例えば元経営者が小切手を受け取ってその翌日に立ち去ろうとするならば私たちはそのオーナーと話し合い、何を望み、その理由は何かを掘り下げるでしょう。そのような話し合いは非常に価値があることが分かりました。

ご存じの通りこのような取引は非常にややこしくなるケースがあります。多くの要素が入り交じってくると、オーナーが望むものが変化するのです。意見も変わります。特に何十年もこのビジネスに携わってきたアドバイザーであれば、ほとんどは感情的な理由です。つまり、退場することはライフスタイルが完全に変化することを意味するので、多くのアドバイザーにとって船出は非常に難しいのだ、と私たちは感じています。

アドバイザーのほとんどは、自分は無敵で誰かに退場させられるまでこの仕事を続けていたいと思っています。それは素晴らしいことだと思いますし、私も追い出されるまでこの仕事を続けたいですが、現実と私たちが望む幕引きは必ずしも一致しません。感情的なハードルを乗り越えることによって、オーナーと話す際になぜビジネスを売却したいのかを知ることができます。理由が分かれば、出口戦略や合併戦略を構築するのに役立ち、すべてが連動してうまくいくのです。

Grau:いいコメントです。オーナーとの取引ではアドバイザーとして顧客対応で経験済みの「得意なこと」をすればよいのです。つまり「2つの耳と1つの口」です。質問をして、黙って聞くことを意味します。ご指摘の通り、私たちは素晴らしいオファーを出している買い手と取引をすることがよくあります。それなのに「売り手の心に響いていない」と感じることがあります。売り手がビジネス売却後に何をしたいのかを買い手が分かっていないからです。あなたがいつか引退するとして、私があなたの素晴らしいビジネスを買収したいとしましょう。私は申し分のないオファーをし、3ヶ月の移行期間を設定します。その後あなたは何か他にやることを見つければよいのです。しかしそれが何かが分からず、やはり今の仕事が好きなのであれば……つまりクライアントが好きで、労働時間を週10時間ぐらいに減らしてオフィスの一角に自分の居場所を残して出社してもしなくてもよいならば、私はあなたの希望をかなえる提案をすることができます。しかし、もし私が、事業売却後のあなたの生活設計について本音を探ろうとしなければ、あなたの興味をそそるような話にたどり着くまでに何十回ものオファーを重ねることになるでしょう。聞いてみればよいという簡単な話です。売り手のニーズを満たす解決策が見つかるとは限りませんが、尋ねてみなければ分からないことです。

Atkins:その通りです。売り手は売却の必要性を分かっていながら「私はもう75歳だ、85歳だ、でもこの仕事を続けたい」と自分に言い聞かせています。1~2年前ほど鋭敏ではなく、物忘れが進んでいることを認めたくないのです。幕引きが必要なことは分かっていても、顧客に影響を与えず退場するにはどうすればいいかを悩んでいます。

売り手は常に最終的な行き先はどこかを気にしているので、買収をできるだけシームレスにするといいでしょう。そのためには売り手にどうしたいかを尋ね、何もせずにぶらぶら過ごしたり、オフィスを維持して出勤したりする機会を与えることが重要です。つまり、肩書を与えるのです。どんな肩書でも私たちにあまり影響はありません。「顧客には、あなたがいなくなったわけではなく、アドバイザーとして現役であることを伝えますし、CEOに話をつなぐ必要があればあなたに連絡します」と伝えます。私たちが検討している買収案件のほとんどは、年齢を感じてビジネス売却の必要性を認識しながらも問題を先延ばしにしているケースです。

Contact

Kyle Atkins kyle@atkinsfinancial.com
David Grau info@successionresourcegroup.com