広大な列島国家インドネシアには多様な文化があります。そのため民族や言語が異なる見込客へのアプローチをためらうアドバイザーは多いかもしれません。インドネシア、ジャカルタの4年間MDRT会員で北スラウェシ州の先住民族、ミナハサ族のHenokh Christian Rayにとっては、他民族の言語、信仰、儀式を多少なりとも知ることが障壁と思えるような扉を開く鍵だと信じています。
文化の理解
「私はバンドン出身ですが(ミナハサ族の)マナド人です。クライアントの大半は華人ですが祝日など彼らの文化を学んでいますので大きな障壁はありません。異なる文化的背景を持つお客さまと会うとき、私はまず先方の言葉で挨拶をして雰囲気を和ませています。その際、できるだけ自然に挨拶することが肝心です。例えばバタック族のお客さまには“horas”と言葉をかけて挨拶します。一方、スンダ族のお客さまには“kumaha damang?”お元気ですかと尋ねています。事前に見込客がどの部族か調べておいて初対面で間違わないようにしています」と説明します。
オーダーメードのサービス
お客さまの祝祭日を知ることも人間関係を築く方法の一つです。異なる部族のアドバイザー仲間から祝祭や重要な日を学んでいます。バタック族の友人もいるので、祝祭日の習慣や伝統について尋ねることもできます。顧客の文化的な慣習や伝統を理解することが信頼を育み、信頼関係の構築に役立っています。
しかし、異なる文化的背景を持つお客さまとのビジネスに共通する課題は相手の資産管理にまつわる固定観念です。長年事業を経営するクライアントの中には、新しい考え方や従来と異なる資産管理に抵抗を感じる人もいます。Christianは異文化に由来する考え方を尊重することで顧客の抵抗感を和らげています。
「25年以上事業を経営している華人クライアントがいて、その方には数十年間守ってきた信念があります。ですからファイナンシャル・アドバイザーの私がいきなり新しい考え方を取り入れるべきだと言えば、拒まれて当然です。そこで私は会社の収益をどう確保しているか、万一に備えどんな貯蓄をしているか、勇退後の備えはしているかなど、相手が答えやすい質問をしています」
保険加入に難色を示す顧客は、長年の習慣で不動産や貴金属を買っていることが多いです。そうやって財産を築くものだと両親から教わったからです。そこでさらにいくつかの質問を重ねます。不動産や金以外の投資をしているか。不動産や金を保護する保険を検討したことはあるか。クライアントがこうした質問に答えたら、保険はそうした資産を保護するツールとなり、死亡時に受取人に財産を分与する機能があることを教えています。
ファイナンシャル・マネジメントの捉え方の違いは障壁ではなく、顧客の民族性に起因するものだと理解することでChristianは断りを克服し、より強固な関係を築く戦術に舵を切ることができています。
Lia Eunika PamelaはMDRTのアジア太平洋市場のコンテンツ開発を担当するコミュニケーション代理店Team Lewisのライターです。Contact: mdrteditorial@teamlewis.com
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