予算のセラピー
健全な金銭的判断の基礎となるのはキャッシュフロー分析です。しかしお客さまの中には予算を立てないという方がいます。「頭の中で計算している」「収入は十分ある」「予算は小切手帳の残高だ」という考え方は健全とは言えません。私たちの最初の役割は、予算を立てることのメリットを教育することです。
お客さまへの宿題として、過去半年から1年分の小切手帳、オンライン明細書、クレジット・カードの明細書を準備していただき、それぞれの支出を調べて分類していただきます。お客さまにはエクセルのファイルを渡しておきます。私たちが使用しているプランニング・ソフトにはオンライン版もあります。住宅ローンの支払いや電気代など、定期的に発生する継続的な支出は目立つので記録しやすいのですが、本当に意味のある数字はATMで引き出されるような毎月の支出です。このプロセスは教育カウンセリング界で「現実療法」と呼ばれ、パワフルな効果を発揮します。
この療法を受けるお客さまは、おそらく人生で初めて予算を立てることを経験します。「老後資金をためる」などの客観的な目標を持てば「どこの支出を減らせるか」に注目するようになります。
適切な金銭的決断を下せるようになり、お客さまは感謝してくださいます。結果的に私たちに貯蓄の運用を任せることを希望し、生命保険の加入などファイナンシャル・プランニングの目標達成に前向きになります。
—Thomas F. Levasseur, CLU, MS Ed はニューハンプシャー州の35年間MDRT会員
年齢層に応じた適切なフレーズ
ファイナンシャル・アドバイスをする際、お客さまの年齢層によってコミュニケーション・スタイルを変えると好意的な反応が返ってくることがあります。人生経験が豊富な年配のお客さまには丁重なアプローチを心掛けます。「ご存じのように」「ご経験から」といったフレーズを使って、お客さまの知見を承認します。一方、若いお客さまに対しては、情報重視のガイド的な役割に徹します。「お客さまのような若い方のほとんどが有益だと考えています」「専門家が強く勧めています」などのフレーズを使って、信頼関係の構築と適切なガイダンスの提供に努めます。
—Xiang Jun Soh, ChFC/S はシンガポールの3年間MDRT会員
確かな人間関係、確かな価値
私は商品主導型のセールスを信じません。どんなに良い商品であっても、最初から商品を提案することはありません。そんなことをしたらこのビジネスは長くは続かないでしょう。私は確かな人間関係を築くことに全力を注ぎます。依頼を受けたときは100%の準備をして、最新の保険知識に関するあらゆることをお客さまにお届けしたいのです。税金や法律の問題を自力で解決しようとする人が多いですが、金融の問題はしっかりした専門家が必要です。各分野の一流専門家はその分野だけに集中し、専門分野以外のことはその分野の一流の専門家の人に任せます。私は自分の専門分野で顧客の問題解決に貢献するプロフェッショナルでありたいのです。結果的にお客さまは私という人間を評価してくださり、私は仕事に満足感を持てるのです。
—Tsutomu Sato は宮城県の20年間MDRT会員
目標に説明責任を持つ
目標を確実に達成する最善の方法は、ただ書き留めるだけでなく、できるだけ多くの人に約束することです。あなたがかなえたい目標を周りの人が知れば、目標達成に一層の責任を感じるでしょう。そして責任意識が芽生えます。自分から「する」と誓ったからには、その約束は果たすべきコミットメントです。
—Timothy Daniel Clairmont, MSFS はオレゴン州の14年間MDRT会員
お客さまに安眠を
株式市場の下落で損失が生じたにもかかわらず、お客さまはアドバイザーに報酬を支払います。ひょっとするとお客さまから反発があるかもしれません。しかし、私たちはお客さまをもうけさせるために報酬をもらっているのではありません。もうけているのは私たちではなく、市場です。私たちの仕事はお客さまの手を握って苦難を乗り越えることです。私たちはそのために報酬をもらっています。これまででお客さまから受けた最大の褒め言葉は「あなたがいてくれるから安眠できる」です。
—Caroline A. Banks, FPFS は英国イングランド、ロンドンの35年間MDRT会員で元MDRT会長
勇退の本音を聞き出す質問
「いつ勇退したいですか」という問い掛けはアドバイザーが顧客に尋ねる標準的な質問です。しかし私たちは 「明日から仕事を辞めてもいいと思える年齢は何歳だと思いますか」と尋ねます。この問い掛けはお客さまの本心を引き出します。たいていの人は、勇退の質問に対してお決まりの答えを持っていますが、私たちの質問は顧客にとって重大な関心事にフォーカスし、政府が定めた退職年齢に縛られずに「何歳で経済的自由を手に入れたいか」を聞き出します。
—Jamie McIntyre, CFP はオーストラリア、ビクトリア州の13年間MDRT会員
お客さまに知識を伝える
お客さまに「勉強してください」とアドバイスします。特に保険に全く加入していないお客さまには会うたびに私の提案に関連する保険法をプリントアウトし、マーカーで印をつけて渡します。こうすることでお客さまは保険についてより深く学び、保険の解約を防げます。お客さまが忘れてしまっても、なぜその箇所を選んだのか、どこに線を引いたのか、何が記されているのかをお客さまにお伝えして思い出してもらいます。法律、特に免責事項が提案書の内容と合致していることを確認するとお客さまは安心し、保険の必要性を認識してもらえます。
またお客さまには『資本の謎』『逃れられない経済循環』『冬の食料を蓄える』といった本をお勧めしています。内容は原始資本から、さまざまな資産の特徴、リスクを回避する退却方法まで多岐にわたります。
—Yahan Zhang, CFP は中国、北京の13年間MDRT会員
お客さまのスタイルを捉える
お客さまの保険契約期間中はさまざまなサービス・リクエストに応じるために無数の郵便物を送ります。私はサービス関連のやり取りは全てスタッフに任せていますが、新規スタッフの採用や異動があるたびに、一からトレーニングしなければならないのが問題でした。私たちが長年培ってきたコミュニケーション・スキルは数週間で教えられるものではありません。スペルミスや文法をチェックするだけでは私たちの個性やブランド、そしてお客さまから認められる基準をクリアしたコミュニケーション・スタイルを伝えることはできないからです。この問題を解決するため、オフィスから発信するあらゆる郵送書類の「テンプレート」を作成し、連絡先や名義人の変更、保険契約の更新、保障内容の見直し、ファンドの切り替え、申込書類、保険料の督促、保険の解約、医務審査後メール、ウエルカム・レターなどに適用しました。テンプレートのおかげで、ミスによるストレスや気まずさから解放され、郵便物の校正、手紙のマナー指導、コミュニケーション・スキルの向上などに費やしていた貴重な時間を節約できました。このベスト・プラクティス(成功事例)を実践することで、アドバイザーとしてプロフェッショナルな姿勢を貫き、私たちやチームに対するお客さまの信頼を維持できるのです。
—Priti Ajit Kucheria, LUTCF, CFP はインド、ムンバイの23年間MDRT会員
お客さま、あなたの助けが必要です
「何を言うか」ではなく「言い方」が重要です。私が常々使うフレーズがあります。「お客さま、あなた方ご夫妻の助けが必要です」そう言われたらあなたはどう感じますか。そう、引き込まれます。そこで「〇〇さまご夫妻を夜眠れないほど悩ませている理由を理解したいのです。あなたの経済的ニーズ、ファイナンシャル・プランニング、経済的自由を把握するためにお二人の助けが必要です。どうすればあなた方を助けられるのか、それを理解するために助けてください」と言います。お客さまとの会話にぜひこのフレーズを入れてください。「あなたの助けが必要です。教えてください。あなたの目標をかなえるために私にどんな手助けができるでしょうか」
—Shane E. Westhoelter, AEP, CLU はニューメキシコ州の13年間MDRT会員