1年目、誰もがStephanie WooとAlex Fyonのやり方に反対しました。2年目にビジネスは数倍に成長しましたが、長続きしないだろうと上司は警告しました。
しかし3年目になると上司たちは態度を一変させました。
「上司たちはどの会議でも私たちのパートナーシップ・モデルを話題にし、『自分にないスキルを補う人と組むべきだ』と人に勧めるようになりました」とWooは語ります。
カナダのケベック州Montrealの3年間MDRT会員であるWooとFyonは、お客さまとの面談に毎回2人で参加します。1人のお客さまの面談に2人のアドバイザーが参加するのは一見非効率で貴重な時間を無駄にし、収益も減ってしまうような気がします。しかし社内7,000人のアドバイザーの中でWooとFyonは2位の成績を上げています。
2人はどのようにしてこれを実現したのでしょうか。また1,700人もいる顧客への対応もうまく機能しているのはなぜでしょうか。
始まり
2人のパートナーシップは2018年にスタートしましたが、成長を意図してというより出口戦略に近いものでした。Wooの友人で同僚でもあるFyonは、Wooが産休の間彼女のクライアントにサービスを提供することを引き受けました。Wooは復帰に乗り気ではありませんでした。意図せず金融サービスの世界に足を踏み入れて6年、仕事への意欲はなく不満もあり、Fyonにもそれを伝えていました。
2019年に復帰したとき、Fyonは責任をもってWooのクライアントを守っていてくれました。彼女は仕事に対して目標ができ、新たな意欲が湧くのを感じました。クライアントはWooに好意的で、さらにFyonをとても支持してくれました。あるお客さまの複雑なニーズに対応したことで、2人はそれぞれの特性に気付きました。Wooは感情主導型の定性的なアドバイスに優れ、Fyonは数字や定量的なことを扱う才能があります。Wooは彼女と同じ若い家族にフォーカスし、Fyonはユダヤ人コミュニティの企業経営者や医療専門家を担当していました。2人は互いの強みを生かすことで、優れた顧客体験を提供できることを発見しました。
互いを補い合う相手と組むという考え方は目新しいものではありませんが、実際は別々の業務を担当することがほとんどです。しかしFyonとWooは協力し合い、誰にとってもあらゆる面でプラスになる方法を生み出しました。
ミーティング時の彼らの役割はまるで「サンドイッチ」です。Wooはお客さまとの会話の始め、組み立て、そして締めを担当し、お客さまが余裕をもって目標などをお話しできるように配慮します。
2人のやり方
ミーティング時の彼らの役割はまるで「サンドイッチ」です。Wooが両側のパンで、Fyonは中身の肉です。Wooはお客さまとの会話の始め、組み立て、そして締めを担当し、お客さまが余裕をもって目標や大切な人々、主張などをお話しできるよう配慮します。Fyonはそれらの優先事項を実現するための具体的な方向性を提示します。
かつてWooは運営管理や資産運用に関わることを敬遠していました。Fyonは感情面をあまり考慮せず自分のペースで話を進めるため顧客を逃していました。「情報をお伝えするタイミングを急ぎ過ぎていました」と振り返ります。現在は顧客が何をすべきかだけでなく、なぜそうすべきなのかという理由の説明にも時間をかけるようにしています。
「Fyonはクライアントに対して何をしたらいいか30分あれば把握できると言います。でもクライアントが勇退してポルトガルに移住したいとしたら、2年後にボートを買いたいとしたら、もうひとり子どもが欲しいとしたら、また家や投資物件を買いたいとしたらどうでしょうか。私はお客さまの夢や目標に対するビジョンを引き出し、Fyonの財務に関するビジョンと一致させるようにしています」とWooは述べます。
秘密のソース
他の会社(代理店)に依頼され、2人はパートナーシップについて話をすることがあります。多くのアドバイザーは似たタイプの相手と組んで結果的に衝突することが多いと2人は言います(Fyonのかつてのパートナーは彼と同じタイプでした)。あるいは、まったく歩み寄ろうとしない正反対のタイプと組むパターンもあります。2人で仕事をするにはそれまでしてきた役割の一部を譲る必要が生じたり、典型的なアドバイザーとは違う仕事の仕方になるので、それを受け入れるのが難しい場合があるとFyonは言います。
しかし、だからこそうまくいくのです。
「Wooは私にクライアントのプランニングを完全に任せてくれます。そして私も彼女が担当する目標や人間関係の部分には決して口を挟みません。これはとても大切なことです」とFyonは言います。1時間のミーティングで50分間話をしないこともあるそうです。「黙っているのは難しいこともありますが、話の邪魔をしないことはとても大切です」
会話のバランスだけでなく、仕事に対する姿勢などの価値観も重要です。「お互いが仕事量のバランスを気にせず、朝早くから夜遅くまで、または週末にも仕事をする覚悟はありますか」とWooは言います。彼女が2度目の産休に入っても2人は絶えずビジネスの構築についてメッセージをやりとりし、子どもが生まれる直前までコミュニケーションを続けました。
「彼女が出産を控えた1週間前、私たちはその週に予定していた47件のミーティングのスケジュール調整をしていました。そのとき破水したと彼女からメッセージが来ました。私は面談を全てキャンセルするべきか彼女に確認しました」とFyonは振り返ります。
「本当に出産ギリギリまで、ミーティングについてのやりとりをしていました」とWooは付け加えます。
その1週間後、2人は予定していた全てのミーティングを再開させました。パンデミックの間の面談は全てZoomで行われましたが、クライアントで子どものいる母親たちは、その臨場感をとても気に入っていました。Wooはパジャマ姿で髪もボサボサ、化粧もせずに子どもの世話をしながらだったので、クライアントも同じようにリラックスして参加することができました。
障害と復元
Fyonは行動派でWooは計画派なので、対立することがあります。少し前の退職後の投資を調整する時期に、Fyonはすぐに実行できるケースのみ検討しようとし、Wooは先を見越して次の四半期の方針を決めようとしました。
「時々話を聞いてもらえないと感じます。Fyonが急ピッチで何百万ドルものビジネスを扱おうとするとき、私は置き去りにされている感じがします。私の目標や計画は聞いてくれないけれど、それもビジネスにとって大切だと思うのです」とWooは述べます。
お互いに聞く耳を持てないこともあります。一緒に仕事をしてきた6年間、Wooは相手が誰であっても電話に出たことがない、とFyonは不満げです。Wooにすれば、事務や手続き的な仕事はFyonが専門なのでお任せしたいという言い分です。パートナーシップを始めた当初は2人の間にかなりの摩擦が生じたそうです。今ではほとんどが解消されましたが、それでも大きなプレゼンテーション(医療クリニックや70~100人規模の中小企業で行われることが多い)の前には、どうしても不安になり衝突が起きてしまいます。それでもお互いを尊敬し、将来の見通しを持つことで和解し、2人で成長を加速させています。
多くの人がこのようなパートナーシップを取り入れようとしましたが、対立したり、やり方が合わなかったりしてうまくいきませんでした。WooとFyonの成功には他にも要因があるかもしれません。彼らは2人の事務アシスタントにサポートをしてもらい、医療関係者や事業主向けの金融サービスを提供しています。そして家族顧客は2人のアドバイザーに任せています。弁護士から住宅ローン・ブローカー、公証人まで、専門知識を提供してくれるプロもそろっています。
また、成功を祝う時間をとり、アドバイザーとしての仕事に楽しみを組み込むことも忘れません。チームでランチをしたり、オンライン・パーティーをしたり、あるいはIKEAでの借り物競走などのイベントもあります。
「業界に入って最初の4~5年間はソロで仕事をしていて、成功や苦難を分かち合う相手がいなかったので孤独でした。今はこのプロセスを心から楽しんでいます」とFyonは語ります。
Contact
Alex Fyon alex@fyonfinancial.com
Stephanie Woo stephwoomontreal@gmail.com