
事実や数字を詰め込みすぎてお客さまの気持ちが離れてしまった経験はありませんか。相手をより深く理解するには自分のストーリーを共有したり、相手のストーリーに耳を傾けたりすることが大切です。ストーリーテリングは強力なコネクターです。聞き手の脳のさまざまな部分が活性化され、特に共感と信頼を生む「絆の化学物質」オキシトシンが放出されます。
作家のKaren Eberは2024年MDRTアニュアル・ミーティング、メイン・プラットフォームで「オキシトシンにより信頼が高まります。ストーリーを語ること自体が信頼を高める行為です。さらにお客さまの共感を促すので決断に影響を与えます。どのお客さまも、お金にまつわるストーリーがあるはずです」と語りました。
ストーリーを語ったり聞いたりすることでお客さまと繋がる方法はたくさんあります。大切なのは誠実であること、そして目の前にいる人を助けたいという純粋な気持ちを示すことです。プレゼンテーションではなく、会話をしてください。深く掘り下げた質問をして、返答に耳を傾けてください。
質問すること、伝えること
優れた話し手になるには台本を暗記するのではなく、スキルを磨くことです。
「話し手としての技術を身に付けるには練習が必要です。携帯電話ばかり見ているのではなく、目を合わせて会話をしてください。どうしましたか? お変わりありませんか? 今までの人生を一言で表すと何ですか? などの質問をしてください」と語るのは、インディアナ州South Bendの42年間MDRT会員であり、MDRT元会長のD. Scott Brennanです。
Brennanのメンターの一人だったジョージア州DahlonegaのMDRT会員、故Charles C. Gleason, CLU, MSFSは「質問ほど強力な手段はない。インタビューを充実させたいなら良い質問をしなさい」と言いました。
最初に投げかける質問として、財務に関することは適しません。価値観や人生のストーリーがお金に対する見方や生き方、さらにどのようにお金を使うかを左右します。質問がお客さまの心に響かなければ、関係性を失うことになりかねません。
「相手が心を開いてくれるような質問を長年試行錯誤してきました。ほんのささいなきっかけで紹介された方が心を開いてくださることがあります」とBrennanは言います。
以下は、彼が「状況を明らかにする」ためにする質問です。
- 裕福な家庭で育ちましたか、それとも貧しい家庭で育ちましたか?
- お金とはどのような関係ですか?
- もし今夜死ぬとしたら、葬儀に来てほしい人のリストはありますか? 配偶者にもそれを共有していますか?
- これまでの人生はどんなものでしたか? 一言で表すと?
- 性格は明るい方ですか、それとも落ち込みがちですか?
- 私のオフィス・スタッフとは良い関係ですか?
「この素晴らしい仕事を始めて間もなく気付いたのですが、親切で穏やかな対応を心掛けるとお客さまは多少踏み込んだ質問にも答えてくださいます。しかし、オブラートに包まないといけない時もあります。面談時に相手が大変な状況にあれば、『いったい何があったのですか?』ではなく、『眠れていますか?』と聞きます。そうすると相手は話をしてくれます。40年間勤めた仕事を解雇されたと聞いても、『何があったのですか?』とは聞きません。『気持ちは落ち着いていますか?どうしたら力になれますか?』と言うと相手は口を開いてくれます」とBrennanは言います。
Brennanは人との繋がりをとても重視し、年に600から700通の手書きの手紙を送ります。Eメールでのやり取りが一般的になっていますが、手書きの良さがあると感じています。
「毎週日曜日か月曜日の朝、昇進などのラッキーがあった人、または病気やけがをした人に宛てて12通ほど手紙を書きます。送り先はお客さまに限りません。がんを発症された方には必要であれば数年間毎週手紙を送ることもあり、手紙を受け取ることを楽しみにしてくださいます。病気やけがをしてしまうと孤独になりがちなので、気に掛けてくれる人の存在が力になると思います」とBrennanは言います。
また、顧客には誕生日やバレンタインデーのカードも送っています。
「自分の存在が心のよりどころとなり、その人の人生が少しでも良くなればと思います。友人がいると感じていただきたいです。これまで多くの生命保険契約をお預かりしてきましたが、私はお金の管理も人の管理もしていません。私の仕事は人間関係を築き人間性を大切にすることです」とBrennanは言います。
大切なのは商品そのものではありません
もし自分のストーリーをシェアした後すぐにお勧めの金融商品の話を持ち掛けると、その場を台無しにしてしまうだけでなく、見込客との将来も失うことになります。
ユーモアを加えることで壁を取り除けます。
—Brandon Wellman
「生命保険は言うまでもなく、人は売りつけられるのを嫌います。しかし『こんなお話があります』とストーリーをシェアすることで身を乗り出して聞いてくれます」とBrennanは言います。
ファイナンシャル・アドバイザーはお客さまの人生に大きく関わるので、顧客の言葉に耳を傾け、敬意をもって受け止める方法を知っておくべきです。
家族行事を通じて繋がる
「感情を扱うには、それを理解しようとする心掛けが必要です」と、シンガポールの9年間MDRT会員のTricia Tanは言います。この心掛けにより、彼女はお客さまとその家族と長期の関係を築いています。お祝いの時も困難な時も深く関わり、最期の瞬間に寄り添うこともあります。
「若い頃は死や重病、障害についてお客さまと話すなど思ってもいませんでした」とTanは言います。しかし、良いことも悪いことも全てが人生の大切なパーツだと学びました。家族の一員のように関わることで、どのような形でレガシーを残すかといった難しい話にも立ち会わせてもらえるようになりました。
「生命保険という愛の贈り物をお届けしています。それは私がお伝えし、お客さまの愛する人に受け継いでいただくレガシーです」とTanは語ります。
ソーシャル・メディアの特性やタイプ別に繋がる
ソーシャル・メディアでストーリーを共有し、実際に会う前から見込客と繋がるファイナンシャル・アドバイザーもいます。イリノイ州Springfieldの6年間MDRT会員のBrandon J. Wellman, CFP, RICPは時にユーモアのあるソーシャル・メディア・ミーム(インターネット上で流行した画像や動画)を通じて見込客とコミュニケーションを始めます。「ユーモアを加えることで壁を取り除けます。一日中数字を見ている堅苦しい人間ではないと知っていただき、人間味を感じていただけます」と言います。
見込客がオフィスを訪れると、Wellmanとスタッフの対応はネット上で見せる一面とは一変し、性格タイプに応じたアプローチをします。「お客さまのタイプに合わせて面談すると、彼らは理解され話を聞いてもらえていると感じ断りが少なくなります。 お客さまと同じ目線で話をします」と言います。
生命保険という愛の贈り物をお届けしています。それは私がお伝えし、お客さまの愛する人に受け継いでいただくレガシーです。
—Tricia Tan
Wellmanは顧客の性格タイプを理解し、それに応じて質問や話の仕方を変えて、分析的か感情的かを見極めます。
「どのような傾向に当てはまるのかを掘り下げます。例えば、エンジニアや幼稚園の先生というように、職業でも性格タイプを深く理解できます」と言います。
「性格を知るために、勇退についてどう感じているか質問する方法もあります。的を射た返答なら、より分析的な性格の可能性があります。退職後の生活がどのようなもので、どう感じるかを説明し始めたら、感情的だと判断します。これにより相手に合わせたアドバイスや提案ができます」とWellmanは言います。
「どのようなタイプのお客さまと仕事をするにしても、お互いのコミュニケーションは神聖なものです。一人が真実を語ることで、両者の心が解き放たれます」とBrennanは言います。
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D. Scott Brennan scbrennan@financialguide.com
Tricia Tan triciatan@pruadviser.com.sg
Brandon Wellman brandon.wellman@prudential.com