
Focus Charityにやって来た15歳の少年はこれまでに34軒の里親を転々としてきて、次に行きたい場所は命を絶つために飛び降りる橋だと言いました。CEOのMatt Lilleyはかける言葉が見つかりませんでした。そこで少年に手伝ってほしいことがあると申し出ました。
そのころLilleyは地域プロジェクトを計画中で誰が何を担当するかを検討しているところでした。少年は機材や椅子の準備を手伝うことを快諾しました。テーブルを挟んで座っているよりも、一緒に活動している時の方が会話は弾みます。作業をしながらLilleyは、少年は愛されていて、いなくなると悲しむ人々がいると語りました。そして明日もできれば手伝ってほしいと少年に頼み、少年は来てくれました。
「彼は今ではガールフレンドもでき、フルタイムの仕事も見つかりとてもいい状態です」とLilleyは言います。Focus Charityは英国、イングランドのLeicesterを拠点とする組織で2024年にMDRT Foundationから5,000ドルのグローバル・グラントを受け取りました。「若者に自分には価値があるということを意識してもらおうと努力しています。だからこそ、彼らを助けるのではなく、彼らに助けてもらい、大事な役割を担っていることを感じてもらいたいと考えています。自分がいなくても世の中は変わらないと思っているような時にこそ、こちらが助けてもらうことが大事です」と述べました。
献身的な取り組み
Lilleyは建築史を専攻する学生の頃には、慈善活動をするつもりはありませんでした。しかし、1995年にFocus Charityのボランティアに参加して3日目のこと、40人の青少年のサマーキャンプに同行していた時に、14歳の子どもたちのいさかいを解決することができました。ケンカの結果、ひとりが相手のベッドに水をかけたので大騒ぎになったのでした。13歳から25歳までの若者の自尊心を育むには緊張した関係を解きほぐし、子どもたちが自分の感情をコントロールできるようにすることが重要です。この出来事が現在30年のキャリアのあるLilleyが人を助けることが鍵だと気付いた瞬間でした。
拠点のあるLeicesterで育つ子どもたちの40%は貧困状態にあります。Focus Charityは常にドアを開けて人を歓迎する姿勢を貫き、全ての人がいつまででも滞在できるようにしています。利用者の約半数は教師、メンタルの専門家、ソーシャル・ワーカーなどからの紹介で、残りは友人と一緒に来るか、Focus Charityの活動を知りひとりで来ます。最初は消極的な人も多いのですが、自主的な参加が基本原則です。強制されることもなく、滞在の期限を指示されることもないと伝えることが重要だと言います。先日もある若い男性が3週間ずっとFocus Charityに通い続けましたが、部屋の外で音楽を聴くだけで何も参加しませんでした。
「彼について少しずつ分かってきました。助けを求めてここに来たはずだけれど、何をしてほしいのかはまだ教えてくれません」とLilleyは語ります。Focus Charityでは年間300人の若者(開設からの累計は21,000人以上)にサービスを提供しており、常時30~50人が参加しています。
方法
Focus Charityは常勤のスタッフが2名、パートタイムが6名、そして40名のボランティアで運営されています。週に3日は夜間数時間開設しているほか、火曜日と隔週の土曜日の日中も活動しています。また、金曜日にはコミュニティ・ガーデンの管理も行っています。ヒンズー教徒、シーク教徒、イスラム教徒などこの地域の多様なコミュニティを祝うフェスティバルへの参加など、常に多くのプロジェクトが進行中です。
新規の利用者がFocus Charityに到着すると、他の参加者たちに紹介し、落ち着くまでそっとしておきます。そしてFocus Charityの同年代の利用者かメンター役のボランティアとペアになってもらい、どんな活動をしているかを説明します。
行動を起こす
重要なのは、若者たちが自分が大切だと感じていることや、関わりたいと思うことについて意見を述べる機会を提供することです。Focus Charityのフェスティバルの取り組み(ディワリ祭を紹介するドキュメンタリー映画の制作、インド音楽に合わせて踊る、料理教室、Leicesterのプライド・フェスティバル、カリビアン・カーニバルなど多くのイベントに参加している)は、若者たちに自分の街の好きなところについて問い掛けたことから始まりました。
また、Focus Charityは両親や地域の他の組織と協力し、ジェンダー平等、ホームレス問題、安全対策に取り組んでいます。例えば、暴力削減ネットワークと提携し、ナイフ犯罪の増加や若者のナイフ所持の問題に取り組んでいます。
「私たちは専門家として相談に来る人々を助け、専門サービスに対してフィーを請求しています。一方、Focus Charityは困っている人が困難な時期を乗り超えられるよう支援しています。支援を受ける人には一切費用がかかりません」とLeicesterの2年間MDRT会員Kris Amliwala, FPFS, MScは言います。5年ほど前に地元のネットワーキング・グループを通じてFocus Charityを知り、MDRT Foundationのグラント・スポンサー(推薦者)となりました。
今回のグラントは利用者の生活費、ソーシャル・メディア戦略、コロナ後の生活再建、ニュースや世界で起こる数々の問題に苦しむ若者たちを支援するボランティアにメンタル・ヘルス・トレーニングを提供するFacing the Futureプログラムの資金となります。これまでに20人以上のボランティアが精神的に苦しんでいる若者が助けを求めに来た際に気遣いのある会話と適切な対応ができるよう訓練を受けました。グラントはスタッフの人件費、ボランティアの研修や諸経費、利用者の交通費、ボランティアの身元調査など、参加者の安全を確保するための費用にも充てられました。
「多くの若者は、自分は期待されているような人生を送っていないと悩み、これからも期待に応えられないのではないかと苦悩しています。世の中は冷たくて自分などどうなっても構わないと思われていると感じています。私たちは、彼らに素晴らしい機会と、本当に協力的で歓迎してくれるコミュニティがあることを示そうとしています。そして、私たちが理解する努力をすることで世の中はもっと良くなると分かってほしい。その一員として関われることを光栄に感じています」とLilleyは述べました。
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Kris Amliwala kris@dwm.uk.com